RHEL4にはブートパラメータに「acpi」というものが用意されています。acpiとは「Advanced Configuration and Power Interface」の略で、OS側から電源管理を制御するものです。これを有効にすると、シャットダウン時などに自動電源断などを行うことが可能となります。
ACPIによるシャットダウン時の自動電源断は一般的にhaltコマンドに-pオプションを付与して行います。
# halt -p
acpiによる自動電源断機能を利用することにより、シャットダウン時に管理者がサーバの電源をリモートで操作することができます。しかしハードウェアによってはACPIの機能が有効の状態でRHELのインストーラを起動するとインストールが停止する問題もあります。
最近のハードウェアではacpi周りの制御機能やOS側のインストーラの改善により、このような不具合も大幅に減少していますが、残念ながらまだ完全には解決されていません。したがってOSのインストール時はカーネルに渡すオプションとしてacpi=offを付加し、OSインストール後に「acpi=on」を/boot/grub/grub.confに記述するという回避策があります。
しかし「acpi=on」を設定するときにも問題点も存在します。それはACPI機能をサポートするサーバ上で無停電電源装置(UPS)を利用する場合です。もしACPIが有効になっているサーバで「halt -p」コマンドによりシャットダウンした場合、ファームウェアが対応していないとシステムの起動の際にUPSを利用することができません。そのためハードウェア側での設定が必要になることもあります。
例えばHP ProLiantサーバでは「自動パワー設定」と呼ばれるものが用意されており、acpiが有効になっている環境下で「halt -p」によるシャットダウンを行った場合にサーバに接続したUPSの利用を可能にすることができます。
したがってサーバにUPSが接続されているか、もしくは「自動パワー設定」機能が搭載されているかにより、acpiの機能を有効にするか無効にするかを決める必要があります。もしサーバに自動パワー設定機能が搭載されておらず、かつacpiが有効に設定されている場合はUSPが利用できなくなりますので、必ずacpiをOFFにしてください。
acpi設定に関する情報を表6にまとめます。
UPSを接続している |
自動パワー設定機能を搭載 |
ACPIの設定 |
Yes |
Yes |
acpi=on |
Yes |
No |
acpi=off |
No |
Yes |
acpi=on |
No |
No |
acpi=off |
表6:UPS接続と自動パワー設定機能の組み合わせとACPI設定
RHEL4のOSのカーネルパラメータでACPIをOFFにするには、以下のように/boot/grub/grub.confファイル内のkernel行にacpi=offを記述してシステムを再起動します。
title Red Hat Enterprise Linux AS (2.6.9-5.ELsmp)
root (hd0,0)
kernel /vmlinuz-2.6.9-5.ELsmp ro root=/dev/VolGroup00/LogVol00 rhgb quiet noexec=off acpi=off
initrd /initrd-2.6.9-5.ELsmp.img
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