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多角的に考察する BPM再入門
多角的に考察する BPM再入門

第4回:柔軟なシステム構築を実現するSOAとBPMの関係
著者:メタジトリー  丸山 則夫   2006/08/3
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BPMとデータ処理

   ここからは実際にBPMで取り上げられるデータの処理について解説します。

   新規システムをBPMによるビジネス層のモデルとして作成する際、同時にワークフローを構成するタスクの適正化が必要となります。ここでいう適正化とは、同様な処理を同時に行う時に再利用可能な粒度のデータアクセスができるビジネスロジックを決めることです。

   つまりビジネス側からは再利用可能なプロセスなのかを決めることができ、システム側からはそれに応じられるデータを決められます。データの粒度は、タスクの中で動くプロセスにエンティティレベルより大きな再利用可能な粒度として設計されます。筆者はこの粒度を設定する考え方がSOAのポイントだと思っています。

   粒度の大きさを決める際にはデータ対応部も最適化されます。基本サービスのコンポーネント(データの粒度)とデータベースの対応は「多:1」の関係が理想的ですが、実際には「多:多」の関係になることが多いです。

BPMと中継処理

   BPMを用いたシステムは新規に構築するとは限らず、多くの場合は既存のシステムを活かした構築となります。そのため、既存システムとBPMの間に中継となるサービスを置いて、既存システムの影響をBPMにおよぼさない工夫が必要なのです。そして中継をとる方法として、BPMで扱うデータと既存システムのデータ格納箇所とのマッピングの必要があります。

   そのため、データの整合性を保つためのマッピング部分を1箇所(中継部)に集中させる必要があり、そのBPMで扱うデータと既存システムの格納箇所とのマッピングは「多:多」の関係となります。

BPMで扱うデータと既存システムの格納箇所とのマッピング
図3:BPMで扱うデータと既存システムの格納箇所とのマッピング


本格的なシステム構築に必須となるBPMリポジトリ

   図3の例のように、ビジネス層とシステム層の連動は両者の厳格な定義を前提として行わなければなりません。小規模なシステム開発では管理項目の量は少ないので、ExcelやBPMモデリングツールでビジネス層とシステム層をそれぞれ管理することができますが、大規模な本格的なシステム構築を管理するリポジトリが必要となります。

   BPMとシステムはともに定義の共通化と標準化をする必要があり、曖昧な設計情報でのBPM適用は避けなければなりません。そして継続的な改善の実施には設計情報の変更が常に伴いますので、全体の定義の共通化や標準化事項の整合性を常に保つ必要があります。


新たな概念や技術はそのままでは使えない

   SOAに限らず新たな概念や仕組みをトレンドとして注目する際、多くの場合はあたかも「その仕組みを導入するだけで今までの問題点を解決できてしまう」と錯覚をしてしまうことがあります。

   企業のシステムはシステムの設計情報が非公開であることが多く、そのためにシステムの再構築ができないこともあります。しかしBPMを導入する際には、非公開の部分をそのままにして成功するものではありません。

   既存システムをベースとしてBPMを利用した再構築を行う時には、必要な設計情報を明確化してBPMによる管理までを実現する作業が必須でしょう。そうしなければ、柔軟なシステムは手に入らないのです。

次回

   次回はBPMの特長を活かしたシステムの開発技法および方法論を取り上げます。

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株式会社メタジトリー 丸山 則夫
著者プロフィール
株式会社メタジトリー  代表取締役社長
日本BPM協会  理事   丸山 則夫

経営と情報システム連携をコンセプトとして、システム再構築のコンサルティングビジネスを実施。
ビジネス・プロセスに着目したBPM(ビジネス・プロセス・マネージメント)の活用が情報化社会の進歩に必要と捉え、市場定着とそのための組織化を推進中。

INDEX
第4回:柔軟なシステム構築を実現するSOAとBPMの関係
  BPMに存在するビジネス層とシステム層
  SOAとBPMの関係
BPMとデータ処理