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多角的に考察する BPM再入門
第6回:BPMを導入することによる企業のメリット
著者:
メタジトリー 丸山 則夫
2006/9/12
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成熟度モデル
以上、業務成熟度について説明してきました。次にこの業務成熟度と情報システムの関係を図2に示します。
図2:成熟度モデル
(METASITORYとJMACが開発した成熟度モデル)
この成熟度モデルの重要な点は業務成熟度と情報システム装備とのバランスです。
業務成熟度がレベル2(繰り返し)でEA(エンタープライズアーキテクチャ)を適用することが誰も思わないでしょう。例え行ったとしても、その仕組みの維持は不可能ですし、その品質は保証でません。
逆に、情報装備度はメール程度の保有でもレベル4の管理した状態では、コストの高い組織となります。このような場合は、すべての文書は手作業での作りとなってしまうので紙が氾濫し、管理に人的リソースが投入されることで維持されるのです。
つまり業務成熟度レベルに対応して、情報システムの最適な装備度が決まるのです。以降より、その装備度をBPMに置き換え解説します。
レベル1:個別
レベル1の情報システムを入れる意義は、あくまで個人の選択でしかありません。
全体に影響するツールやシステムを導入したときどうなるかを想像してください。使わない人と使う人がまちまちで、結果的に全体の品質の向上にはならず、また効果がでません。
ここでのBPMの採用は各個人の作業の可視化を可能とします。それは自分の仕事を明確にすることです。
図3:レベル1の状態
多くの企業はレベル3以上でしょう。組織とその役割が定義され、その定義を元に担当者が仕事を遂行しています。担当のタスクの棚卸しをしてみると、「ほかの担当者からトリガーが発生し、作業を行い、作業を終えるとリストアップ」といった形になります。
つまり、個々人の仕事の意識はこのレベル1であることが多いのです。BPMの役割は周辺の状況を踏まえた上での自分のポジションの認識です。その結果、周辺関係の調整が起こり、業務成熟度はレベル2に引き上げます。ここでのBPMの導入はレベル2に持っていく手段ともいえます。
レベル2:反復
レベル2ではそのグループでのルールを作っていますので、簡単なツールの導入は可能です。BPMの採用は担当内のプロセスを可視化します。そして結果として、担当作業の効率化と品質確保に役立つでしょう。
例えば、日々の営業活動をワークフローで管理したり、稟議をワークフローで管理したりするのがこれにあたります。この領域ではグループウェアのワークフローとして多くの商品があります。
図4:レベル2の状態
グループウェアは、気楽に導入し、予定した効果が得られます。ただ扱う情報に制約ありますので、担当内の文書やデータであればこのレベルで行えます。
多くの事例は、ワークフロー内で扱うコンテンツ(主に文書)を対象とするものと、単にワークフロー機能に限定したものが目立ちます。スイムレーンで扱う対象は組織内の役職相当です。
この段階でBPMをエンタープライズなシステム装備を対象とすると、担当官の曖昧な状態が問題となります。
レベル2の情報装備は、現状で個別に導入した企業が沢山ありますが、基幹システムとの接続を行おうとすると困難になります。従って担当内で作業効率が工夫されますが、企業全体として効果に関して多くを期待できません。会計処理や経営情報処理、そして基幹システムとの接続となると、冗長作業が発生します。
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著者プロフィール
株式会社メタジトリー 代表取締役社長
日本BPM協会 理事 丸山 則夫
経営と情報システム連携をコンセプトとして、システム再構築のコンサルティングビジネスを実施。
ビジネス・プロセスに着目したBPM(ビジネス・プロセス・マネージメント)の活用が情報化社会の進歩に必要と捉え、市場定着とそのための組織化を推進中。
INDEX
第6回:BPMを導入することによる企業のメリット
BPMと企業
成熟度モデル
レベル3:定義