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プロセス
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プロセスという言葉はビジネスプロセスあるいはOSのプロセス、開発プロセスといったようにたくさんの場面で使われています。「過程・手順・工程」などの意味ですが、CMMIでは「目的を達成する組織的な機能」と考えればよいと思います。組織は多くの人で成り立っていますので、プロジェクトなどで組織活動を実施するにはどうしてもチームとしての機能分担を明確にする必要があります。
CMMIにはたくさんのプロセスが定義されていますが、実際の組織ではどのようなプロセスが存在するのでしょうか。試しにあなたの部署で以下のことをチェックしてみてはいかがでしょうか。
- 組織の責任者はコンプライアンスに関する方針を決めていますか?
- 見積り時に規模に応じたリスク管理を実施していますか?
- セキュリティ管理について責任および権限は割り当てられていますか?
もしどれも知らないようでしたら、「〜部管理ガイドライン」といった形式のものでプロセスをまとめてみましょう。リスク管理は、例えばCMMIのリスク管理プロセスの「SP1.3リスク管理戦略を確立する」と記述されたプラクティスやそのサブプラクティス項目が組織のプロセスを確立するために役に立ちます。
プロセスは組織人が守るべき規律(デシプリン)となるものです。もしこれがなければメンバーは個人の勝手な判断で行動をすることになります。「テストをする」というプロセスが確立されていない組織では、納期に迫られた担当者は「テストをしないでも納品する」と判断をします。あとで大騒ぎになることはわかっていても、担当者というのはとりあえずの問題が解決できればよいのです。プロセスという規律を持たない組織はやはり品格がない組織といえます。
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CMMI導入による影 〜 デメリット
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CMMI導入は残念ながらメリットだけではありません。いくつかのデメリットがあるのも事実です。特に組織や個人に負荷がかかること間違いないでしょう。その点を考えながら「ドキュメント」「形骸化」「即効性」の面から説明します。
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ドキュメント
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組織によっては、CMMIを導入するために多くのドキュメントを作成しないといけない場合があります。特に「自組織や自組織に属するメンバーに関して説明されているものがない」「組織としての開発管理標準などがない」「組織における文書体系や文書一覧がない」などということであれば、多くのドキュメントを作成することになります。
これは基準・手順がドキュメント化され、それらを実施したことを記録し、管理するという仕組みが根底にあるからだと考えます。
記録とは、確かに実施したという足跡(証跡)になるものです。わかりやすい例でいえば、議事録や作業記録などです。こういう書類は査閲印・承認印や保管場所・保管ルールなどがあります。これが管理にあたるもので、常に最新の状態に保ち、版管理をしっかり行うことが必要になります。
このように説明するとドキュメントは大変な紙の資料が必要だと思われますが、電子媒体でもかまいません。見たい時に、見られるようになっていればよく、電子媒体をきちんと管理できればよいのです。
ではドキュメントを作成するには、まず何をすればいいのでしょうか。ドキュメントは、体系をきちんと構築してから作成した方がよいでしょう。無駄なものや重複したものを作成しないで済むだけではなく、「このことはどのドキュメントを見ればよい」というようなドキュメントへのアクセスも明確になります。
また、既存ドキュメントを活かして追加・併合することにより、余計なものを作成しなくてもよくなります。組織の中に使えるドキュメントがほこりをかぶっているかもしれませんので、ドキュメントの有無をしっかり調べてから、新たに作成することをすすめます。
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著者プロフィール
日本コンピューター・システム株式会社 新保 康夫(しんぼ やすを)
本部企画室 コンサルタント、ITコーディネータ/ITCインストラクタ、システム監査技術者、ISMS主任審査員資格。
1975年 日本コンピューター・システムに入社。システム開発に従事し、プロジェクトマネージャを経て現在、コンサルタント業務に従事する。コンポーネントベース開発やアジャイル開発にも関与する。
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日本和光コンサルティング(株) 久野 茂(くの しげる)
日本和光コンサルティング(株)代表取締役副社長、ITコーディネータ。日本電気(株)、(株)日本総合研究所に勤務。現在日本和光コンサルティング(株)代表取締役副社長。
1978年徳島大学工学研究科修了、1998年電気通信大学大学院IS研究科博士課程単位取得満期退学。著書に「中国オフショア開発ガイド(共著)」コンピュータエージ社、他 多数。
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