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ながさきITモデルへの参画 〜 地場SIerの官公庁システム開発奮戦記 |
第5回:下請けではなく、自立した企業を目指して
著者:ドゥアイネット 穴井 春奈 2006/6/8
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1人の技術者として得たもの
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筆者がこの連載記事を書くことになったのも、3年前の入札がきっかけである。またこの連載がきっかけとなり、先日鹿児島県情報サービス産業協会から依頼を受け、当社の技術者をテーマに講演を行った。
このような連載記事を書いたり、技術者という立場から100名という大勢の方々の前で話す機会に恵まれたが、1人の技術者として、こういった機会は滅多にあるものではないだろう。
当社に入社する前、筆者は某メーカの一般事務員だった。プログラマに転職して技術者としてスタートした4年前、自分が現在のように上流工程の仕事に携わりながら記事を執筆し、さらに講演をすることになるとは想像もつかなかったことである。
設計という上流工程の仕事のチャンスは最低でもあと3年はかかるだろうと考えていたのだ。こんなに早く付加価値の高い仕事に携わることができ、普通では経験できないような記事の執筆や講演をする機会が与えられたのは非常に幸運なことだと思っている。
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ながさきITモデルを通じての長崎県庁の変化
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ながさきITモデルに参画することによって変わったのは当社だけではない。ITモデルを実施している長崎県庁にも変化が起きている。
小口分割発注方式による開発は開発者にとって楽ではない。1つのプロジェクトに参加する開発業者が多くなればなるほど煩雑さは増し、スムーズにことが運ばなくなる。
システム構築は誰もが考える通り、1社で行うのがベストだろう。だが長崎県では、そのことも分かった上で、当社のような中小企業と大手ベンダーとが同じ土俵で参入することができるように、あえて小口分割発注方式を採用しているのである。
だが、大変なのは技術者ばかりではない。一番大変なのは、そのシステムを担当する県の職員の方々ではないだろうか。開発がスタートすれば、各社とのメールのやり取りがはじまる。同時に4・5社とメールのやり取りをし、打ち合わせもしながらシステム開発を進めていかなければならない。
そして開発が終われば、正常に動くかどうかテストもしなければならない。仕様設計の段階では、ながさきITモデルでは県の職員が中心となって考えなければならないため、システム構築を発注する際に基礎的なデータベースの知識も必要になってくる。
今までであれば、このようなことも必要なかっただろう。大手ベンダーに一括して任せていれば、後はすべて発注先のベンダーがやってくれていたのだ。
だが目的である地場企業の活性化のためには、大手ベンダーが行っていたことを地場企業と県の職員が行うしかない。システム構築に携わる県の職員の方々はシステム構築に関して非常に熱心であるが、それだけの責任が県側にもあるからだろう。ながさきITモデルによるシステム構築は、業務のプロである県の職員とシステム構築のプロであるシステム技術者がともに力を合わせてシステムを作り上げていくものなのである。
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著者プロフィール
株式会社ドゥアイネット 穴井 春奈
システム技術部2課 チーフ。 前職は一般事務。もっと自分にしかできない仕事をしたいという思いから転職を決め、ドゥアイネットに入社して4年。現在は長崎県電子自治体プロジェクトに携わり、設計から開発までをこなす。
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