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エンタープライズ・サーチ
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第3回:エンタープライズ・サーチの機能を見極める
著者:アイ・ティ・アール  上村 陽子   2006/5/11
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セキュリティ・アクセス管理

   企業内のビジネスコンテンツには、アクセス権限が設定されているものもあります。検索結果にアクセス権の設定されたファイルが含まれていれば、検索したユーザはそのファイルにアクセスしようとしてもアクセスは拒否されます。

   しかしこれでは問題があります。本来はそのようなファイルが存在することすら、利用者には知らせてはいけないからです。Active DirectoryやNotesのACLに設定されているアクセス権限に関して製品はコンテンツリポジトリ側のアクセス権限のそれぞれを、検索結果リストの表示段階で反映する必要があります。この機能に関しては、現時点では製品ごとに対応にばらつきのある状況ですが、ユーザからのニーズが高いことから今後整備されていくものと思われます。


エンタープライズ・サーチ製品市場

   ここまで、エンタープライズ・サーチ製品の機能についてみてきました。検索の精度や利用者の満足度を高めるために、様々な機能拡張が進んでいることを理解してもらえたといます。では、どのようなベンダーがこの市場にいるのでしょう。

   国内ではエンタープライズ・サーチという名称はこれまであまり使われていませんでしたが、海外ではずいぶん以前からこの言葉が使われており、エンタープライズ・サーチ市場という1つの市場を形成しています。この5年ほどの間には、情報検索に関わる特定分野の高度なテクノロジを所有するベンダーの買収が非常に多く見られました。

   結果として主力ベンダーは集約する方向にあり、買収した高度な機能を自社製品に組み込む形で、製品の機能拡張が進んでいます。2005年11月には、エンタープライズ・サーチ市場のリーディングベンダーであるAutonomy社が、同じく大手ベンダーであるVerity社の買収を発表しました。これにより同社は16,000の顧客を有し、検索ベンダーとしてははじめて年間売上200万ドルを超える企業になっています(Forrester Research調査レポートより)。さらにEndeca社/FAST社/Convera社などの専門ベンダーがAutonomy社を追従しているのが、海外での状況です。

   Google社も、エンタープライズ・サーチ市場に参入したベンダーの1つであり、圧倒的な知名度を武器に、大規模なグローバル企業を対象にしたGoogle検索アプライアンス(ハードウェアを含む製品)を提供しています。中小規模企業向けに低価格なGoogle Miniの発売も行っており、検索製品の低価格化に一石を投じました。

   ただし、前半で紹介したような企業内のニーズを満たす高度な検索機能の提供に注力しているかというと、そのような動きはあまり見えませんので、ここで取り上げるエンタープライズ・サーチベンダーとは若干市場へのアプローチが異なっていると思われます。

   国内でも企業内の情報検索機能を提供する製品は以前より複数存在しています。日本語処理に優れた独自開発の検索エンジンを提供するジャストシステムが豊富な実績を持つほか、アクセラテクノロジ、サイバーソリューションズなどが、独自開発製品を提供しています。上述の海外ベンダー製品のいくつかは国内でも提供されていますし、ウチダスペクトラムではFAST社の検索エンジンを用いた独自のソリューションを提供しています。

   2006年春には、このエンタープライズ・サーチ市場にOracle社が参入したこともきっかけに市場が活気づいています。OracleがGoogleに対抗したかのようなニュース記事のタイトルを目にしましたが、インターネットポータル市場に参入したのではなく、同社が出したのは企業内コンテンツを検索する製品です。「Google検索アプライアンス」の対抗といった方が正確でしょう。いずれにせよ、この市場にITベンダーの巨人が参入してきたことは大きなニュースです。こうした海外ベンダーの参入により、国内でも「エンタープライズ・サーチ」という言葉が頻繁に使われるようになってきました。

   次回は、ここにあげたベンダーの製品をいくつか紹介したいと思います。

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アイ・ティ・アール  上村 陽子
著者プロフィール
株式会社アイ・ティ・アール  シニア・アナリスト
上村 陽子(かみむら ようこ)

データウェアハウス、BI、CRM、コンテンツ管理分野の市場調査を担当する。慶応義塾大学理工学部卒業後、ユーザ企業の情報システム部門を経て、1999年より現職。


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第3回:エンタープライズ・サーチの機能を見極める
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