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ユーザ企業の人事管理・給与計算システムの利用実態調査レポート

第1回:人事管理・給与計算システムの現状
著者:クレオ  成瀬 真伯   2006/4/6
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従業員の現状

   現在の従業員の状況について、正社員とパートアルバイトの比率を回答してもらったグラフが図3です。
規模別従業員比率
図3:規模別従業員比率

   給与計算処理対象人数が500名〜3,000名の企業では約50%、給与計算処理対象人数3,000名以上の企業では正社員よりも契約社員やパートアルバイトといった正社員以外の従業員の方が多いという企業が顕著です。

   給与処理人数10,000名以上の企業となると、約70%の企業が正社員より正社員以外の従業員が多いという結果となりました。この結果を過去のデータと比較すると、正社員以外の比率が年々高まってきており、雇用形態の多様化や組織のスリム化の一端が数値としてあらわれていると感じられます。


システム化の現状

   「人事管理/給与計算/勤怠管理」のシステム化の現状についてアンケートをとったのが図4のグラフです。

人事管理/給与計算/勤怠管理のシステム化の状況
図4:人事管理/給与計算/勤怠管理のシステム化の状況

   結果をみると、71%の企業で人事管理/給与計算/勤怠管理がシステム化されていることがわかります。当社への問い合わせの状況を見ても、そのほとんどがシステムのリプレースであり、新たにシステム化されるというケースはごくわずかだといえるでしょう。

   システム化が最も遅れているのが「勤怠システム」という結果となりましたが、この結果を次項において別の角度で分析をしてみます。


企業規模の違いによるシステム化の現状

   従業員数別にシステム化の状況を見てみると、図5のグラフのように従業員数が500名未満の企業層において数値が顕著にでています。

500名未満の企業のシステム化の状況
図5:500名未満の企業のシステム化の状況

   すべてシステム化されている企業が50%を下回っています。平均以下であることはともかく、人事管理のシステム化が遅れているということがわかります。今回の調査において、現時点で約3社に1社が人事管理をシステム化していないという結果となりました。

   該当する規模の企業に意見を聞いてみると、現状では人事管理の必要性に駆られていないという意見が多くありました。もしかしたら、500名未満というのは人事部で従業員の名前と顔が一致するギリギリの数なのかも知れません。

   また、3,000名〜10,000名規模の企業においては、図6の結果となりました。

3,000名〜10,000名の企業のシステム化の状況
図6:3,000名〜10,000名の企業のシステム化の状況

   80%近くの企業が人事管理/給与計算/勤怠管理すべてのシステム化が完了しているという回答でした。給与計算はもちろんですが、人事管理や勤怠管理もシステム化しないと業務遂行が困難な企業規模であるといえます。


業務別によるシステム化の現状

   次に業務別にアンケート結果を分析してみます。システム化をする手段として、大きく表4の2つの選択肢があります。

  • パッケージ製品を採用したり、パッケージ製品にカスタマイズやアドオンを加える
  • 自社で開発する

表4:システム化をする大きな手段

   表4の2つの手段を利用して、人事管理/給与計算/勤怠管理の3つの業務を比較してみます。

人事管理のシステム化状況
図7:人事管理のシステム化状況

給与計算のシステム化状況
図8:給与計算のシステム化状況

勤怠管理のシステム化状況
図9:勤怠管理のシステム化状況

   図7〜9から、「勤怠管理」だけは自社開発のシステムが過半数を超えているという特徴がよみとれます。おそらく勤怠管理は人事管理や給与計算と比べて各企業固有のシステム要件が強く、既存のパッケージをベースにしたカスタマイズやアドオンでの対応ではシステム化が難しいのかもしれません。

   「給与計算」も各企業の独自性が強い業務ではありますが、パッケージ製品でのシステム化が60%となっているのは、パッケージ製品における給与計算の機能レベルが向上し、守備範囲が広がっていることを象徴しているのではないでしょうか。また、年俸制や各種手当の廃止など、各企業の給与規定がシンプルに改定されている背景もあらわれていると思われます。


国産・海外製パッケージ利用の調査

   パッケージを採用している企業に「国産パッケージと海外のパッケージ、どちらを採用していますか」という追加質問をしました。

   結果は国産が90%を越えています。このことから、人事管理/給与計算/勤怠管理といった業務には日本独自の慣習や制度が多く残っており、国産パッケージの方が適合しやすいという判断をしている企業が多いと考えられます。

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クレオ  成瀬 真伯
著者プロフィール
株式会社クレオ  成瀬 真伯
1992年に株式会社クレオに営業として入社以来、中堅〜大手企業向け基幹業務パッケージCBMSシリーズ(会計システム、人事給与システム)の販売に携わる。
その間多くの企業へのシステム販売に加え、販売戦略立案・製品企画などにも参画。現在人事給与システムに特化し、人事給与システムのコンサルティング営業と導入SEを統括管理している。


INDEX
第1回:人事管理・給与計算システムの現状
  はじめに
従業員の現状
  ユーザ企業のシステム運用環境