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ユーザ企業の人事管理・給与計算システムの利用実態調査レポート

第1回:人事管理・給与計算システムの現状
著者:クレオ  成瀬 真伯   2006/4/6
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はじめに

   現在、中堅・中小企業向けERPパッケージが注目を浴びています。大手外資系ERPベンダーや老舗の国産パッケージベンダーは、自社が展開している製品の機能をコンスタントに強化していますが、強力な新規参入企業やASPサービスなどにも目を離せません。

   最近の人事給与・給与計算システムの導入の傾向を見ると、ERPパッケージを導入することで業務改善、BPRなど「業務効率化」「コスト削減」を期待することは当然のこととして、中核人材の育成や社員教育といった「企業力強化」までの効果を期待する企業も多く見受けられます。

   人事管理・給与計算システムによる具体的な業務改善としては、次のようなことがあげられます。

  • 年俸制、早期退職制度のような自社内の制度改訂
  • 最適な人員配置・e-ラーニング・目標管理の徹底といった人材の有効活用・人材育成
  • 個人情報保護強化をはじめとする「法令改正」

表1:人事管理・給与計算システムを導入することにより期待される業務改善

   多くのユーザ企業は業務改善の必要性、もしくは経営層からの要望に応えるためにも、人事管理・給与計算システムの見直しを行います。具体的には現行のシステムを強化したり、ERPパッケージや人事管理・給与計算に特化したシステムへのリプレースを視野に入れ、検討していることと思います。

   クレオは13年に渡り、中堅・中小企業へ人事管理/給与計算/会計システムを提供してきました。よりよい製品やサービスを提供し続けるため、人事部/総務部/経理部を対象に数回にわたりアンケートを実施しています。

   回答をいただいた企業には、現在の人事管理/給与計算/会計などの各社運用中のシステムの状況や各企業の要望を分析し、その結果をフィードバックしています。

   本連載は現場の生の声を分析し、ユーザ企業のニーズの変遷や現状システムの状況、今後のシステムに求める要望などを報告・解説していきます。

人事給与システムへのニーズの変遷
図1:人事給与システムへのニーズの変遷
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


ユーザ企業のニーズの変遷

   クレオは「CBMS」という人事給与・会計システムを1993年にリリースしました。現在の「CBMS ZeeM」にいたるまで、ユーザの要望はもちろん、技術トレンドや業務トレンドをふまえたパッケージ製品やサービスを提供してきました。

  • 汎用機からのダウンサイジングによるメンテナンスコストの削減
  • 給与の自動計算
  • 帳票出力の効率化

表2:1993年当時のシステムリプレースへの要望

   当時の給与計算システムは汎用機やオフコンもしくは専用機で行われており、オープンプラットフォームで稼動する給与計算システムはほとんどありませんでした。しかし、その後の1995年にWindowsが世に広まったタイミングで、「CBMS」はCUIからGUIへ進化しました。そういった中、当時のシステムリプレースに対して表3ようなニーズが高まりました。

  • 人事管理の強化
  • 人事データと給与データの一元管理
  • 蓄積した人事・給与データの活用

表3:1995年当時のシステムリプレースへのニーズ

   この頃に人事管理をシステム化しはじめた企業は多いのではないでしょうか。さらに、インターネット環境の普及やM&A、シェアドサービスセンター(SSC)の導入といった世の中の環境変化の影響も受けて、従業員の情報をWeb上で参照したり、ある条件に該当する社員の検索、そして各従業員からの身上変更申請といったニーズも90年代後半から発生しはじめたといえます。

   そして2005年に長年に渡って蓄積したノウハウとユーザの生の声を最大限にいかした、.Netベースの人事給与システム「CBMS ZeeM人事給与」をリリースしました。

   当社の製品「CBMS ZeeM人事給与」も業務ニーズや業務・技術トレンドを取込み、進化してきました。また上記の通り、各々の時代を背景に業務ニーズも変遷しております。

   今回はユーザ企業の人事部/総務部に2002年度〜2004年度に実施したクレオ独自のアンケート結果の報告をします。本連載ではアンケート結果の報告にとどまらず、著者自身がユーザにうかがった情報や意見を盛り込みながら調査レポートを紹介していきます。

   毎年多くの企業に協力してもらっていますが、2004年度の調査は首都圏所在の社員数300名以上の企業2164社に対しアンケートを行い、794社から有効回答を得ることができました。この場を借りて感謝します。

回答会社業種の比率/有効回答794社
図2:回答会社業種の比率/有効回答794社

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クレオ  成瀬 真伯
著者プロフィール
株式会社クレオ  成瀬 真伯
1992年に株式会社クレオに営業として入社以来、中堅〜大手企業向け基幹業務パッケージCBMSシリーズ(会計システム、人事給与システム)の販売に携わる。
その間多くの企業へのシステム販売に加え、販売戦略立案・製品企画などにも参画。現在人事給与システムに特化し、人事給与システムのコンサルティング営業と導入SEを統括管理している。


INDEX
第1回:人事管理・給与計算システムの現状
はじめに
  従業員の現状
  ユーザ企業のシステム運用環境