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情報化による業務システム改善
情報化による業務システム改善

第4回:BPRの効果をコストで示すABC手法
著者:みずほ情報総研   片田 保   2006/6/19
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3. コストを析出し問題点・課題を分析する

   選定した対象業務に対し、これらの作業・動作の基準となる1年間の活動日数、1日あたりの労働時間、年間労働時間、職員1人あたりの人件費、紙1枚あたりの費用などの原価や数量を把握して、事務手続や作業ごとにコストを積算する。
   今回のケースでは、コストを積算することによって、次のような問題点が明らかになった。

  • 紙による事務処理が基本であるため、転記、コピー、入力、各種チェック作業、運搬・移動・待機などの非付加価値作業が多数存在すること
  • 各庶務事務の作業のうち、85%程度がIT化されておらず、庶務担当の手処理となっているために負荷が大きいこと

表5:庶務・総務事務における問題点の洗い出し

   なお、ABC分析の結果から、高コストになっている事務手続には、「日常的に発生している事務」「頻度が高い事務」「頻度が低くとも複雑・時間を要する事務」があり、頻度が低い各種取次ぎ事務などについては、相対的にコストも抑えられているという示唆が得られた。


4. BPR実施モデル、BPR方針を策定する

   析出したコスト規模別に各事務手続をグループ化し、各事務の発生頻度、動作回数や所要時間といったコスト要因からIT導入の際のBPRポイントを抽出する。

  • 事務手続そのものの見直し(廃止、ルート見直し、権限委譲、簡素化、変更など)
  • IT活用による見直し(システム連携、データベース化、情報通信インフラの共用化など)
  • 事務の集中化(標準化、発生源入力など)

表6:庶務・総務事務におけるBPRのポイント

   さらに、BPR実施の際の基本となる方針を策定するため、庶務事務の改善に必要なBPRのポイントを組み合わせて15〜20程度のBPR実施モデルを作成する(図4)。

BPR実施モデル
図4:BPR実施モデル

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みずほ情報総研 片田 保
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  情報・コミュニケーション部
公共経営室長   片田 保

1991年、早稲田大学教育学部卒業、富士総合研究所(現みずほ情報総研)入社、2004年から現職。専門は、ITを活用した行政経営、地域経営。行政の経営改革に関するコンサルティング、自治体の政策アドバイザーなどの業務に携わる。世田谷区行政評価専門委員を務めるほか、大学・大学院非常勤講師、自治体セミナー講師、論文執筆多数。

INDEX
第4回:BPRの効果をコストで示すABC手法
  わかりにくい効果
  ABCで評価してみる
3. コストを析出し問題点・課題を分析する
  5. BPR前後の効果を析出する