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情報化による業務システム改善
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第6回:BPR実践の秘訣(前編)
著者:みずほ情報総研   片田 保   2006/7/31
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第2条:次世代ミドルを活躍させる!

   経営改革に取り組むためには、経営トップの強烈な推進力が不可欠である。しかしトップダウンの実践だけではなく、現場の協力もなくては成功はしない。これはどちらも正論で、確かなのはトップとボトムが両輪で回ることが必要だということである。

   だが、実際には簡単ではない。企業や団体の規模にもよるが、トップとボトムとの意思疎通がどれくらいうまくいっているかが、経営改革の成否を分けるといっても過言ではないほどだ。

   ここにおいて、重要な役割を担う立場にいるのが「ミドル」である。特に日本的な組織では、このミドル層の活躍なしにはうまくいかない。IT時代を迎えて、中間組織不要論(中抜き)が世間の通説のようになったが、実はこのミドル層は現場ラインの権限を持ち、実際の活動が見えている。

   特に、次世代に主力となるミドル(次世代ミドル)を中心とした全社横断的な改革ドリームチームを組成し、第1条で説明した錦の御旗の権限を付与することで強力な推進主体として機能し得る。これより上の世代だと、現場での危機感から乖離し既存組織や権限を守ろうとしてしまう。

   経営改革を目標に据えて、そのための組織を作る必要がある。ワーキンググループのレベルではなく、改革推進という職責をまっとうするための全権的な組織であり、従来の組織や仕事の仕方にとらわれない働きをしなければならない。まさにBPRの理念を形にした組織である。

   業務経験10〜15年クラスの次世代ミドルから構成されるこのドリームチームが、事前にネタを仕込み、トップの承認を得た上で現場に落とし込む。現場ラインの意思決定権限を持つミドル層が、現場(ボトム)の言い分や事情を調整し、難易度は高いが実効性のある現実解としてトップに提案する。「ミドルアップ」あってこそのボトムアップであり、トップダウンである。

   半面、このミドルをうまく取り込めないとBPR実践が頓挫しかねない。このミドル層は会社や組織の見通しが利くようになっているため、普段から不満・不平を持ちやすいが、組織的にはいわゆる中間管理職の悲哀を感じている世代である。次世代を背負って立てる人、組織の悪しき因習に呑まれて諦めてしまっている人が混在している。

   組織のフラット化や権限見直しなどを行うBPRによって、もっとも激しい変革の渦に巻き込まれるのはこのミドル層であり、彼らは根強い抵抗勢力になり得ることにも留意しておきたい。

ミドルアップ・トップダウン
図1:ミドルアップ・トップダウン

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みずほ情報総研 片田 保
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  情報・コミュニケーション部
公共経営室長   片田 保

1991年、早稲田大学教育学部卒業、富士総合研究所(現みずほ情報総研)入社、2004年から現職。専門は、ITを活用した行政経営、地域経営。行政の経営改革に関するコンサルティング、自治体の政策アドバイザーなどの業務に携わる。世田谷区行政評価専門委員を務めるほか、大学・大学院非常勤講師、自治体セミナー講師、論文執筆多数。

INDEX
第6回:BPR実践の秘訣(前編)
  BPRの理念に立ち返る
第2条:次世代ミドルを活躍させる!
  第3条:ゴール、プロセスを共有する!