TOP業務システム> RFIDミドルウェアの定義
RFID
RFIDのデータを活用するために

第2回:RFIDミドルウェアの背景
著者:野村総合研究所  松本 健   2006/7/14
前のページ  1  2  3
RFIDミドルウェアの定義

   直近のEPCグローバルで公開された「EPC Global Architecture Framework(Version1,July 2005)」では、RFIDミドルウェアを「Filtering & Collection」という役割として記述しており、「タグの生データを集積・フィルタリングする」機能と定義している。

   タグの生データついては、リーダとのインターフェースである「Reader Protocol」から送られ、「時刻TにリーダAが読み取ったEPC X」と定義している。

   また、アプリケーション側からRFIDミドルウェアを呼び出すインターフェースをALE(Application Level Event)インターフェースと呼び、これを「RFIDミドルウェアからアプリケーションへ統合・フィルタリングしたタグデータを送る」インターフェースと定義している。なおここでいうイベントとは「場所Lにおける時刻T1からT2の間に、以下のEPCリストを読み取った」ということであり、「その読み取ったEPCリストには重複がなく、適切な条件でフィルタリングされたもの」としている。

RFIDミドルウェアと関連インターフェース 出所:EPC Globalより一部抜粋
図2:RFIDミドルウェアと関連インターフェース
出所:EPC Globalより一部抜粋

   以上のことを言い換えると、RFIDミドルウェアは、RFIDリーダ・ライタと接続し、そこから読み取ったタグデータをフィルタリングというロジックを通して、アプリケーションにとって都合のよい抽象化されたデータに変換し、アプリケーションに接続してデータを送信する役割を持つことになる。

   野村総合研究所では、RFIDミドルウェアが持つ機能を以下のような4階層(デバイス管理、データ管理、プロセス管理、アプリケーション・外部ネットワーク連携)への分類を提案している。

RFIDミドルウェアの機能階層
図3:RFIDミドルウェアの機能階層

   デバイス管理機能では、RFIDリーダ・ライタなどの情報取得機器と接続し、主にデバイスから送られてくるデータの受信やデバイスのコンフィギュレーションを管理する。データ管理機能では先述したEPCグローバルでの集積やフィルターの核となる部分で、冗長なデータのフィルタリングやデータ保持を担う。

   プロセス管理機能では、RFIDに特化した処理をワークフローとして定義・管理する機能であり、例えばRFIDリーダ・ライタとRFIDプリンタの連携などを管理する。アプリケーション・外部ネットワーク連携では、上位システムへの接続インターフェースであり、EPCグローバルでのALEインターフェースを含む。

   次回はRFIDミドルウェア4階層の機能、および製品について詳しく解説する。

前のページ  1  2  3


野村総合研究所株式会社 松本 健氏
著者プロフィール
野村総合研究所株式会社  松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。


INDEX
第2回:RFIDミドルウェアの背景
  はじめに
  EPCのながれ
RFIDミドルウェアの定義