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SQL Server 2005クラスタリング
SQL Server 2005で実現するクラスタリング

第1回:SQL Server 2005のクラスタリングで実現する高可用性
著者:イー・キャッシュ  小関 茂徳   2006/6/30
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クラスタリングとは

   マイクロソフトのクラスタサービスには、大きく次の3つのシステムが提供されています。
クラスタサービス名 機能説明
ネットワーク負荷分散(NLB) 着信したパケットを複数のサーバから構成されているクラスタリングサーバに分配する
コンポーネント負荷分散(CLB) サーバ間でCOM+コンポーネントの動的なバランシングを実行することで作業負荷の分配を実現する
Microsoft Cluster Service(MSCS) クラスタリングを構成するいずれかのサーバで障害が発生した場合や、オフラインになったときの影響を最小限にする

表2:マイクロソフトのクラスタサービス

   MSCSは、何らかの要因で稼働中の1台のサーバがダウンした場合にクラスタリング環境を構成している別のサーバが実行中の処理を引継ぐため、全体としてはシステムが停止することを防ぐことができ、利用者は大きな影響を受けることもなく今まで通りシステムを使い続けることを実現する機能です。SQL Server 2005のフェイルオーバクラスタリングは、このMSCSを利用した機能となっています。


Active-Passive形式とActive-Active形式

   次に、MSCSの「Active-Passive形式」と「Active-Active形式」の2種類の構成方法について説明します。Active-Passive形式は、図1の通り稼動系(Active)のサーバと待機系(Passive)のサーバから構成されており、基幹サービスは稼動系のサーバのみで実行されているのです。

Active-Passive形式
図1:Active-Passive形式

   これに対して、「Active-Active形式」はクラスタを構成するすべてのサーバが稼動系のサーバとして動作しており、一方のサーバは基幹サービスAの稼動系かつ基幹サービスBの待機系として、もう一方のサーバは基幹サービスAの待機系かつ基幹サービスBの稼動系になります。

Active-Active形式
図2:Active-Active形式

   また、クラスタリング環境においては、サービスを提供している稼動系のサーバで何らかのトラブルがあった場合に、自動的に待機系サーバにリクエスト先を切り替えることで、継続的なサービス提供を可能にするフェイルオーバという機能があります。

   データベースやアプリケーションの安定性が向上しても、ハードウェアやネットワークインフラのトラブルをはじめとする物理的なトラブルについては避けることができないため、企業の情報システムの基盤を担うデータベースにとって、フェイルオーバはもっとも重要な機能の1つになります。

Active-Passive形式のフェイルオーバ処理の流れ(障害発生)
図3:Active-Passive形式のフェイルオーバ処理の流れ(障害発生)

Active-Passive形式のフェイルオーバ処理の流れ(障害対処)
図4:Active-Passive形式のフェイルオーバ処理の流れ(障害対処)

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イー・キャッシュ 小関 茂徳
著者プロフィール
イー・キャッシュ株式会社  小関 茂徳
ビジネス支援事業部 ビジネスアドミニストレーター
イーキャッシュにて事業化計画から製品化計画、販売戦略までのビジネスデザインを中心として展開している事業に携わっている。2006年度からはRFID関連事業でつちかったプラットフォーム製品の開発技術を活かして、モバイルプラットフォーム分野における仮想マシンの開発や半導体開発とともに新規事業開発提案を推進している。


INDEX
第1回:SQL Server 2005のクラスタリングで実現する高可用性
  SQL Server 2005の高可用性
クラスタリングとは
  MSCSのハードウェア構成の制限について