第10回:Oracle RACの拡張機能と更なる進化 (3/3)

最大限の可用性とスケーラビリティを実現するOracle RAC
最大限の可用性とスケーラビリティを実現するOracle RAC

第10回:Oracle RACの拡張機能と更なる進化
著者:日立システムアンドサービス  山崎 啓利   2006/11/7
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今後の展望

   皆さんが求めるデータベースシステムはどのようなものでしょうか。「可用性が高く、パフォーマンスに優れ、なおかつ、管理が安易である」、さらに「コストがかからない程よい」というところではないでしょうか。これまで説明してきた機能は、以前から皆さんが求めていたものではないかと思います。

   以下にほんの一部ではありますが、Oracle9iからOracle10gにかけて進化した機能を記載します(表2)。
コスト
  • クラスタウェア(OCW)の無償提供
  • Standard Edition のOracle RACサポート
可用性
  • 接続時フェイルオーバーによる透過的接続
  • 投票ディスク、OCRの冗長のサポートによるSPOF(Single Point of Failure)の低減
パフォーマンス
  • キャッシュ・フュージョンによるDisk I/O削減による高速化
管理機能
  • Oracle Enterprise Manager Controlによる管理
  • CVUによる環境チェック
  • ASMによるストレージ管理

表2:Oracle10gの新機能

   また、以前のバージョンでは、大規模システム向けのEnterprise Editionを使用しなければ、Oracle RACという機能を実現できませんでしたが、Oracle10gでは、中規模システム向けのStandard Editionにおいても、Oracle RACを使用することが可能になりました。このため、より多くのシステムにて高可用性を実現することができます。

   さらには、Oracle10g R2以降から、OCWはOracle Database以外のサードパーティー製アプリケーションも管理できるようにもなり、従来のサードパーティー製クラスタウェアと同等の機能を実現できます。最小限のシステム投資で最大のパフォーマンスや信頼性、管理者の作業の削減を実現できるよう進化しているのです。


まとめ

   本連載では、拡張性や可用性を飛躍的に向上させるクラスタリング技術をデータベースレベルで実現するOracle RACについて、全10回に分けて解説しました。Oracle RACを適切に運用することは、ノードの増減に柔軟に対応できるスケーラビリティを持ち、障害に強い可用性の高いシステムを構築できるだけでなく、管理コストの軽減につながることもご理解いただけたことと思います。今回の連載が少しでも皆さんのお役に立つことを願っております。

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日立システムアンドサービス 山崎 啓利氏
著者プロフィール
日立システムアンドサービス  オープンソリューション本部
カスタマサポートセンタ   山崎 啓利

入社5年目。オラクルサポートに携わりながら、同製品の環境構築・検証作業、および社内のサポート業務システム構築を経て、この2年間は、オラクル製品にサポートに従事している。オラクルを使用するお客様に対して、ベストのサポートを提供すること心がけ、日々対応している。


INDEX
第10回:Oracle RACの拡張機能と更なる進化
  はじめに
  Oracle RACの特徴的な機能
今後の展望
最大限の可用性とスケーラビリティを実現するOracle RAC
第1回 Linux上で利用するOracle RACのメリット
第2回 押さえておくべき基本設定
第3回 Oracle Clusterwareのインストール
第4回 Oracle Clusterwareインストール後の設定と確認
第5回 Oracleソフトウェアのインストールと設定
第6回 サーバダウン時のOracle RACの可用性
第7回 Oracle RACのパフォーマンスチューニング
第8回 Oracle RACコンポーネントの管理
第9回 Oracle RACのノード追加手順
第10回 Oracle RACの拡張機能と更なる進化

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