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SMB市場のサーバOS動向
2006年中堅・中小企業におけるサーバOSの実態と展望

第1回:LinuxはWindowsの対抗馬か

著者:ノークリサーチ  伊嶋 謙二   2006/6/2
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Linuxの利用実態 - 約6割がLinuxを使うつもりがない

   先ほどのデータは、企業のサーバ別の利用動向だが、次は企業全体としてLinuxの利用実態、動向を聞いた結果が図2だ。1台でも使っているという意味(企業のどこかの部門)でのLinuxの利用率は24.8%となっているが、前年より利用率は下がっている。むしろLinuxの今後の導入予定では、「使うつもりがない」が59.7%と過半数を超えている。この「Linuxを使うつもりがない」値は昨年の56.2%と比べてもその比率が高まっている。
Linuxについての考え
図3:Linuxについての考え
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


「Linuxを使うつもりがない」主な理由は、「社内に分かる人がいない」から

   Linuxをなぜ「使うつもりがない」がないのか。その理由として最も多かったのが、「Linuxを理解する技術者がいない」ことだ。実に58.5%と約6割を占めた。

Linuxを使うつもりがない理由
図4:Linuxを使うつもりがない理由
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ついで「サービス/サポートが不安」38.0%、「今使用しているOSに満足している」で37.1%というのが挙がった。以下「実績が少なく不安」(26.6%)、「アプリケーションが少ない」(20.7%)と続く。

   最も注目すべきはやはり「Linuxを理解する技術者がいない」ことだ。今までWindowsを利用していたユーザがLinuxにリプレースするのは簡単ではない。そのためには何が必要か。

  • 社内のスタッフに専用の教育プログラムを受けさせてLinuxスキルを持たせる
  • 社外から経験者を募り対応する

表1:Linuxにリプレースするために必要なこと

   表1の内容を実現するためには時間もコストも余分にかかるために、中堅・中小企業の多くは余裕がないのが実情だろう。

   また「サービス/サポートが不安」38.0%は、今までオフコンやWindowsで受けていたサービス/サポートがLinuxでもきちんと受けられるのかどうかという不安は、導入する局面では躊躇する材料となる。

   「今使用しているOS=Windowsに満足している」37.1%と「Windowsのほうが良いと思う」19.4%はほとんど同じことを語っている。つまりWindowsを高く評価しているということを意味している。

   「実績がなく不安」26.6%、「アプリケーションが少ない」が20.7%も課題として指摘できる。Linux用アプリケーションを自社開発できる技術力を保有したユーザなら問題は少ないだろうが、そうでなければ導入事例や対応するアプリケーションの数が少ないことはLinux普及のためには大きなボトルネックとなるだろう。

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書籍紹介
「2006年 中堅・中小企業におけるサーバOS実態調査(White paper)」

本記事はノークリサーチより発刊されている「2006年 中堅・中小企業におけるサーバOS実態調査(White paper)」からの転載です。上記調査資料には、さらに詳しいデータや分析結果が記載されています。調査資料のご購入は下記のリンクより行えます。

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有限会社ノーク・リサーチ  伊嶋 謙二
著者プロフィール
有限会社ノーク・リサーチ   伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/


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