— どのようにMDA支援ツールがITアーキテクトの代わりにマッピングをするのですか
桐越氏:モデル変換プラグインは、分析モデルで作成された「業務の世界」のクラス図をいったん中間モデルの「構造モデル」に変換します。そして、変換時にはあらかじめ登録された構造パターンのテンプレートを参照して適用します。なお、ユーザ(主にITアーキテクトが担当する)が独自のパターンを登録することも可能です。
そして、構造モデルはさらに実装モデルへと変換されます。この変換時に適用される実装パターンとして、J2EEのデザインパターンなどが用意されており、ユーザが実装パターンを追加することもできます。また、これらの変換時に適用するテンプレート(パターン)の管理によって、プログラムパターンの標準化をはかることも容易になり、システム全体の保守性も向上します。
実装モデルが作成できれば、あとはTogether ControlCenterなどのツールによってUMLのクラス図からJavaのソースコードを生成すればよいのです。このように分析モデルから設計・実装モデルに至る変換を一貫して行える支援ツールによって、MDAベースの開発によるメリットを最大限に享受できるようになるのです。
— コンポーネント化をすることのメリットとは何でしょう
桐越氏:コンポーネント化推進によるメリットとして、まずあげられるのがシステム開発効率の向上です。すでに実績のあるコンポーネントを利用することによる品質の向上やテスト工数削減などの効果も容易に想像できますが、これらは開発したコンポーネントが効率的に再利用されることが前提となります。
コンポーネントの再利用率の多い事例として、流用率45%を達成しているシステム開発の実績もあります。さらに「業務機能コンポーネント」のみに限定すると、そのシステムの実に50〜70%が「システム機能コンポーネント」の流用で構成されていたのです。
— コンポーネントの増加にしたがって、より効率的な開発が可能になったのですか
桐越氏:このようなレビュー基準の他にも、「アプリケーション開発と共通コンポーネント開発を分けた開発チーム体制」や「EA(注1)に基づく開発方針策定、リポジトリによるコンポーネント管理」などコンポーネントの再利用を促進する様々な仕組みが考えられます。
当然、再利用しやすいコンポーネントを開発するだけでは不十分であり、作成したコンポーネントを効率よく管理・運営するための体制や仕組みが整備されて、はじめて開発効率や品質の向上といった効果が実現できるのです。
※注1:
Enterprise Architecture
巨大な組織の業務手順や情報システムを標準化することにより組織の最適化を進め、効率よい組織の運営をはかるための方法論
— これまでのコンポーネントの開発・管理・運用のノウハウは、そのままSOAの実現に活かされているのですね
桐越氏:業務モデリングの段階から最適な機能・粒度のコンポーネントを切り出し、MDAの開発プロセスに沿って設計からシームレスに実装レベルまで落とし込むコンポーネントベースモデリングは「サービス」の実装を可能とすることによってSOAを実現します。
そのノウハウはSOAというキーワードが登場する以前から、日立がシステム開発やコンサルテーションの現場で培ってきたものです。もちろん、Cosminexus Version 7には日立のSIノウハウを活かした機能が投入されています。
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