われわれが提案している都市計画アプローチは、EISアーキテクチャとEISシナリオとからなる(注4、5)。「第3回:アーキテクチャとフレームワークの定義」でも述べたように、アーキテクチャを表現するためには複数の適切な観点を選択し、それらの観点を総合して対象を評価する必要がある。
※注4:
南波 幸雄、飯島 淳一, 「企業情報システム統合化フレームワークとしての「EIIメタモデル」の提案」, 経営情報学会誌, Vol.12, No.1, June, pp.15-32, 2003.
※注5:
Namba, Y. & Iijima, J., "City planning approach for enterprise information systems," Proceedings of the Eighth Pacific Asia Conference on Information Systems, Shanghai, China, pp.169-180, 2004.
EISアーキテクチャは図2で示すように、ステークホルダーの関心に基づく3つの観点で構成されている。
図2:EISアーキテクチャを表す3つのビューポイント (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
都市計画には都市基盤の構築・整備を目的とする土木工学的なものと、それを前提にして町並み計画・地域の再開発をデザインし、建物や都市の諸設備を整備する建築工学的な都市計画があるといわれている。さらにその上に、それらの前提になる都市環境のようなものがあるといわれている。このように都市計画には、それを構成する階層構造があると考えられる。
また都市計画は、その実施にあたって部分と全体の調整を必要とする。例えば特定地域の開発や住居地域に隣接したゴミ焼却場の建設のように、ある部分の利益にはなるが他の部分の不利益になる事業を調整する機能が必要になる。さらに都市のなかを通っている国道や鉄道、隣接市町村との関係、国土計画などの上位計画との調整など、都市計画のカバーする範囲を越えたものとの調整も必要になる。
これらはそれぞれ、EISアーキテクチャの「構造」「部分と全体」「内と外」のビューポイントに相当する。
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