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データベースのリーディングカンパニーの新たな顔
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— セキュリティといっても、多くのジャンルがありますが
早川氏 早川氏:セキュリティというものを考えたときに、「アクセスを制限する」「アクセスした内容を分析してチェックする」という2つが考えられました。一般的にセキュリティというと、前者のようになにかしらの制限をかけるものが多いのですが、当社は後者を行うためにアクセス内容を記録するログに着目しました。

出入力されるパケットやデータの書き換えの情報など、大企業のシステムにおいては1日に数千万件から1億件にも達する膨大なログが記録されます。これだけの膨大なログを分析するには、ログを効率的に管理して分析するエンジンが必要なのです。


— 日本版SOX法への対応からガバナンスの必要が叫ばれ、ますますログの解析は重要になっていきますが
早川氏:膨大なデータベースを分析するソリューションを考えた場合、当社が従来展開しているデータウェアハウスやデータマート市場でのノウハウが利用できることに気がつきました。そこで当社は「Sybase IQ」という商品をセキュリティにおけるデータ分析市場に向けて販売することにしました。

元々「Sybase IQ」はセキュリティ以外の市場向けてプロモーションを行っていた商品ですが、搭載されたカラムインデックスなどの特別な検索機能を持ったエンジンが、結果的にセキュリティ市場で役立つ形となったのです。


— 社長を兼任されているアイエニウェア・ソリューションズ社についても教えてください
早川氏:アイエニウェア・ソリューションズはモビリティソリューションを展開しています。サイベースはインフラの提供を中心としていますが、アイエニウェア・ソリューションズはPDAをはじめとした携帯端末向けのミドルウェアを提供しているわけなのです。

元々アイエニウェア・ソリューションズは「SQLAnywhere」というフットプリントの小さいデータベースをクライアント側に持たせ、データの同期を行う商品をメインとしたビジネスを行ってきました。その後モバイルを対象としたミドルウェアを開発している企業を買収するなど、この分野の強化をはかっています。


— 第2四半期の売り上げが22%増となっていますが
早川氏 早川氏:これはSybase Adaptive Server Enterprise(以下、ASE。従来から展開しているデータベース製品)が伸びただけではなく、全体が伸びた結果です。企業としてビジネスの分野をRDB以外にシフトしていますが、これは今までの分野での成長を確保した上で、他のビジネスに展開していくということです。ASEも新規顧客数も順調に伸びており、決して外しては考えられない当社のコアビジネスなのです。

例えば、RDBの売り上げは前年度比で5〜10%程度上昇していますが、データベースはミドルウェアなどと比べた場合に、売り上げの内訳の半分を保守が占めています。保守の売り上げというのはライセンスが増加してすぐにあげるわけでなく、その翌年よりライセンス料の1%程度が追加される形になっています。このためRDB全体の売り上げを10%伸ばすためにはより多いライセンスの増加が必要なのです。

現在のIT業界のソフトウェア部門では30〜40%、大きいところでいえば50%の伸び率があります。その中で当社もRDBという分野であったとしても、最低限10〜15%は会社全体として伸びていく必要があるわけです。ところがすでに一般化されて成熟している、コモディティ市場といわれるデータベースのビジネスだけでは大幅な増加は難しいのが実情なのです。


— そのためにRDB以外の市場に展開しているのですね
早川氏:現在、ASEのビジネスは全体6〜7割を占めていますが、その内訳は保守がほとんどであり、RDBの販売自体は半分を切っています。RDBはビジネスの主体であることには変わりませんが、半数以上は別のプロダクトやソリューションが占めている現状を鑑みて「データベースのベンダー」という表現はおかしいと考えています。米国にいるお客様の間ではかなり認識いただいていると思いますが、日本においてはこれから知っていただくための努力が必要だと考えています。


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