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— そのまま新しいビジネスに全面的にシフトしていくのでしょうか
早川氏:新しいビジネスへの取り組みは今後も精力的に続けていきますが、もちろん既存のデータベースのビジネスを今後も継続していきます。サイベースは金融機関のシステムからスタートしたのですが、金融機関のシステムというのは10〜20年でやめるわけにはいかないビジネスなのです。
金融など国家のインフラとして機能している業種が期待していることは、製品を継続的にバージョンアップ/サポートをするということです。この既存のビジネスを守っていくことは、単なるビジネスではなく企業としての文化を求められているといえるでしょう。
こういったビジネスは性質上、今後大きな伸びを示すことは難しいと思います。しかし、今後の可能性としてモビリティやセキュリティの事業の拡大に期待しています。
— サイベースの日本における戦略を教えてください
早川氏:当社のような外資系のソフトウェアベンダーでは、インターナショナリゼーションとローカライゼーションという2つの問題が必ず起こります。インターナショナリゼーションに関しては開発段階から2バイトコードに対応することで解消できます。しかしローカリゼーションは単に日本語に直すだけにとどまらず、その土地の市場にマッチさせる、つまり慣習にあわせる必要があるのです。
米国の企業は自社の主力製品や売れている製品をメインにローカライズを行ってきましたが、それらは必ずしも日本市場に合致しているとは限りません。この問題は近年よく取り上げられる問題なのですが、当社は日本法人として、本社側から日本市場によりあった商品を選択し、ローカライズの必要性を説いています。
— ローカライズする際のポイントは何でしょうか
早川氏:我々は日本でいわれる「ソリューション」にはこだわらず、常にインフラとしてソフトウェアを提供しています。
これは「バリューチェーン」の考え方を踏襲したものであり、インフラを中心とした価値を生み出すチェーンをきちんと構築するためパーツの提供が一番重要であると考えているからです。これまでのサイベースはエンタープライズポータルをはじめとした様々な商品を提供してきましたが、個々の商品にかける力が分散してしまい、お客様にとってプラスにはなっていなかったと考えています。
ローカライズを待っていたことから、日本市場での商品にはバリューチェーンの間に隙間が生じていました。そのために現在では、すべてのローカライズを待つよりも、当社がきちんと日本のバリューチェーンの1つとして存在できるような製品に注力することを目指しています。
— 今後のサイベースの展開を教えてください
早川氏:来月には最新バージョンであるASE15が発売されます。これは、大規模なデータベースと多量のトランザクションの増加する需要への対応とともに、コスト効率のよいデータベース管理システムです。「オンディスク暗号化」「スマート・パーティション」、または大幅なパフォーマンスの向上を示す特許技術の「新規クエリ処理技術」などがあります。
また、「Web2.0」が注目されていますが、これに関連して現在大きな課題なっているのが「PowerBuilder」のWebシステム化へのサポートです。この問題を解消するために、当社はアピオン社(2000年に設立されたソフトウェアベンダー。マイグレーションツール「Appeon for PowerBuilder」を中心としたサービスを提供。)と協業して積極的にマイグレーションを行っています。
さらに今後は組込みの分野にも注力していきます。これはパッケージとデータベースを別々に購入して両方をメンテナンスするのは面倒というユーザ向の方に特に評価していただいております。メンテナンスの一本化とトータルコストの軽減を実現しており、例えばSybase IQにデータベースを組込んだアプリケーションパッケージを提供することなどが考えられます。
サイベースはコアコンピタンスな部分はそのままに、新しい分野を強化していきます。古くて新しいサイベースにぜひ期待してください。
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サイベース株式会社 代表取締役 早川 典之
1998年サイベース株式会社に入社し、パートナー営業統括部長に就任。2000年に同社旧MEC事業本部長に、さらに2001年は同社取締役兼アイエニウェア・ソリューション事業部長長に就任。それ以降、サイベース株式会社取締役副社長、アイエニウェア・ソリューションズ株式会社代表取締役、iAnywhere Solutions,Inc.北アジア地域担当副社長などを勤め、現在はサイベース株式会社代表取締役社長とアイエニウェア・ソリューションズ株式会社代表取締役社長を兼任。
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