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CMS×XML
XMLによるコンテンツ制作プロセスの改善

第1回:自動車メーカにおけるサービスマニュアルCMSコンセプト事例

著者:メタジトリー  丸山 則夫   2006/8/3
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XMLを適用したCMS事例の紹介

   ここからは筆者が携わったCMSにXMLを適用する事例を紹介します。今回はXMLが普及しはじめた5〜6年前のXMLによるマニュアル制作のコンセプト事例を説明し、次回はFlashとXMLという最新技術を使ったWebコンテンツ制作の事例を紹介します。

マニュアル(ドキュメント)を管理するCMS構築事例 〜 自動車メーカA社の事例

   2001年頃、自動車産業のサービスマニュアルにはJ2008という標準記述が確立されており、各社はその仕様に従ってマニュアルを制作していました。しかしA社はドキュメントを管理するCMSの効率をさらに上げるために、この標準記述を見直そうとしていました。そこで、新しいCMSの検討に筆者が参加することになったのです。

   この時検討されたCMSの特長は次の通りです。

  • SGML(タグで文書の論理構造や意味構造を記述する言語であり、HTMLやXMLなどのマークアップランゲージの基となった)の発展系としてドキュメント自体をXMLで記述し、ワンソース・マルチユースを行う
  • 社内の様々な目的のドキュメントを単一言語で記述し、スタイル(体裁)を分離することで一元管理を行う

表1:本事例で検討されたCMSの特長

   表1の内容は今となっては当たり前のことですが、まさにドキュメント・マネジメントの原点となる理想をXMLで実現するものでした。そして、次のポイントにも注目したのです。

日本語と英語などの多言語化に際してのワークフローや生産方法の統一
当時のA社は社内で日本向けと外国向けの組織が異なり、制作プロセスも別でした。そこでXMLの特長を活かし、それらを改善する取り組みを行う必要があったのです。
J2008などの国際標準適用と社内コンテンツ管理体制の整理
標準化は生産性向上にとって厄介な代物となる可能性もありますが、うまく使えば社内のコンテンツマネジメントを抜本的に改革する力になります。
XML化によるCDやWebなどの各種メディアへの対応
印刷物は印刷部数の大小により製作プロセスが異なりますが、それと同じように、紙・CD・Webページも製作プロセスがそれぞれ異なるのです。しかし、XMLのワンソース・マルチユース機能はそれら無駄な工程を短縮することができるのです。
協業のあり方の変化
従来は印刷会社/Webコンテンツ制作会社と発注企業との関係において、発注企業は成果物のみを受け取り、コンテンツの管理は製作会社側で行うケースが多くあります。しかしXMLという標準記述のコンテンツを蓄積できるようになると、多くの企業がコンテンツに関わることができるようになります。 そのためコンテンツが発注企業の管理下におかれる際には、コンテンツを取り巻くビジネスモデルが大きく変わるのです。発注企業自身が顧客に様々なコンテンツを供給する側となり、制作部分を発注先以外の企業にアウトソーシングするケースも考えられます。

表2:ドキュメント・マネジメントをXMLで記述する際のポイント

印刷+Webを想定したCMS
図1:印刷+Webを想定したCMS
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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株式会社メタジトリー 丸山 則夫
著者プロフィール
株式会社メタジトリー  代表取締役社長
日本BPM協会  理事   丸山 則夫

経営と情報システム連携をコンセプトとして、システム再構築のコンサルティングビジネスを実施。
ビジネス・プロセスに着目したBPM(ビジネス・プロセス・マネージメント)の活用が情報化社会の進歩に必要と捉え、市場定着とそのための組織化を推進中。


INDEX
第1回:自動車メーカにおけるサービスマニュアルCMSコンセプト事例
  CMSを飛躍させたXML
XMLを適用したCMS事例の紹介
  CMS目標の明確化