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徹底解剖!!Oracle Fusion Middleware
第5回:情報システムの最適化 - システムトランスフォーメーション
著者:
新日鉄ソリューションズ 前田 稔
2006/11/24
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どこから取り組むのか
この新しいアーキテクチャをどう取り入れていくかは、現在保有している情報システムの規模と内容、取り組もうとしているシステムトランスフォーメーションの範囲や用意できる資金、集められる技術者の質と量といった諸要素によって変わってくる。多くの企業が採用するアプローチは次のようなものになるであろう。
まず、自分自身の情報システムの状況をきっちり把握し、諸要素を勘案した、大まかな基本構想と移行計画を作る。
次に自社にとって、もっとも重要な仕事の一連の流れを見いだし、その流れがもっとも効率的になるようにビジネスプロセスの最適化を検討する。そしてこのビジネスプロセスで必要となる情報を提供できるアプリケーション群を検討していく。
この際、「新規の開発」や「パッケージの導入」といった選択肢のほかに、「アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)の利用」といった選択肢もある。開発コストのことを考えると、自社の競争優位につながる最重要のアプリケーションだけを自社開発し、それ以外はパッケージやASPを利用することが望ましい。
アプリケーションを開発する場合は、個々のアプリケーション機能を再利用可能な「サービス」として定義し、共通システムサービスなどとネットワークを通じて連携しやすい形にしておく。最近注目されているSOA(サービス指向アーキテクチャ)とは、こうした開発手法を指す。
このようにしてもっとも重要なビジネスプロセスを支える情報システムから、新しいアーキテクチャを順次採用していくわけである。逆に言えば、
システム投資に見合うリターンがあるコアプロセスから変革していく
ということだ。
表1にSOAによるシステムトランスフォーメーションの一般的な導入効果を整理してみたので、参考にしていただきたい。
財務の視点
IT要求に対する迅速な対応(ビジネス戦略の加速)。具体的には市場変化や新商品、新しいビジネスモデルへの対応など、システムの俊敏性確保。またM&A、事業再編などダイナミックな組織変革への対応
ITコストの削減(開発・運用)。具体的には再利用性の向上(システム開発費の削減)。保守性向上、システム長寿命化(TCOの削減)。ミドルウェアライセンス費用削減(統合化、標準化の進展)
顧客の視点
データの鮮度や精度向上(リアルタイム性向上)
ワンストップサービスの実現のしやすさ
市場要望の迅速な反映
B2B連携の強化
業務プロセスの視点
リアルタイムで継続的なビジネスプロセスのモニタリングとタイムリーな改善
ITによる内部統制強化、コンプライアンスの確保
変化対応力の向上
学習と成長の視点
組織的なシステム開発、効率的な運用管理体制の確立
標準技術に基づくことによる要員スキルの集約化
過去のプロセスの継続的な改善
表1:ミドルウェアによるSOAの導入効果
当社では、基本構想やアーキテクチャ設計からシステム構築、運用にいたるシステムライフサイクル全般にわたるコンサルティングを通じて、Oracle Fusion Middlewareを用いた次世代情報システムへのトランスフォーメーションを支援している。
今後、ブロードバンドネットワークを中心とした社会の通信基盤は、道路や電力と同じように社会の重要な共通基盤の1つとして情報化社会の進展とともにますます拡充が続くであろう。
これらの通信プラットフォームの上に、個人や企業が様々な形態の利用やサービスを展開することとなるが、Oracle Fusion Middlewareはこのようなブロードバンドをプラットフォームとした企業の次世代情報システム構築において重要な役割を担うであろう。
今回の連載を通じて、読者のOracle Fusion Middlewareの理解の一助になれば、幸いである。
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著者プロフィール
新日鉄ソリューションズ株式会社 前田 稔
エグゼクティブ・プロフェッショナル
ソリューション企画・コンサルティングセンター
新日本製鉄室蘭製鉄所において生産技術部門に従事。その後、同社EI事業部で、オープン系MRPやERPのSI事業に携わる。産業ソリューション第1事業部長、ソリューション企画・コンサルティングセンター長などを歴任し、2005年より現職。
INDEX
第5回:情報システムの最適化 - システムトランスフォーメーション
はじめに
アーキテクチャを考える
どこから取り組むのか