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昔とは明らかに違うシンクライアントの実力 |
第2回:Windows環境の実現と導入のポイント
著者:TIS 小林 千恵 2006/10/26
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シンクライアント導入時の検討項目
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シンクライアントシステムの導入時には、サーバおよびクライアントのハードウェアやライセンス費用以外にも様々なコストが表面化します。例えば、サーバ側での処理やデータが集約されることによるサーバの性能増強やストレージ増設です。また多数のユーザの利用に耐え得るシステムとするために、ネットワーク帯域も見直さなければなりません。
そして、現行システムからシンクライアントシステムへの移行も重要な検討事項となります。既存業務が問題なく動作することの検証と、本来の業務への支障を最小限とするような移行シナリオを策定する必要があるでしょう。
シンクライアントの導入検討時には様々なコスト項目を抽出し、移行による削減効果が算出されました。コストの項目としては、維持コストの削減や端末の低故障率による買い換えサイクルの長期化、サーバ集約によるリソース共有による効率的な運用などです。
この結果、長期間償却年数での機械および運用費は「55%削減」と試算されました。またクライアントPCからの情報漏洩など、セキュリティインシデント発生時のリスク対策費用の削減も見込まれます。
次項では、自社導入によって得られた、ユーザの視点を加えたシステム展開における様々なフェーズで発生する要件や検討事項をクリアするノウハウを基に、シンクライアントシステム導入の各フェーズにおける課題対策のポイントを紹介します。
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1. 初期費用など表面的なコストだけで判断するべからず |
導入検討時には、まずコスト面での比較が行われます。シンクライアントシステムの導入には様々なコストが計上され、PCをクライアントとするシステムに比べると高価格という印象があります。実際に初期費用だけを比較すると、シンクライアントシステムの方が高くなることが多く、TCOを考慮すれば導入を躊躇する要因といえるでしょう。
システムのTCOには、具体的に見えにくい項目が多く含まれています。そのためそれらを抽出・試算して、「見える化」していくことが重要になります。例えば、PCは本体やソフトウェア保守費用に加え、セキュリティ維持のための作業など、管理者および利用者による管理運用作業費が積算されていきます。こうして台数に比例して運用維持コストはあがっていきます。
そして、クライアントPCの故障や2〜3年ごとの償却の際には、使用者の業務効率の低下と入れ替えのための作業が発生します。またクライアントPCの高性能化に対し、CPU稼働率はともすれば20〜30%といわれ、リソース面では過剰投資しているといえます。
このように初期コストと中長期的な運用コストのトータルな観点で、シンクライアント導入のコストメリットを試算する必要があります。
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2. システムの移行を簡単に考えてはいけない |
シンクライアント環境へのアプリケーションの移行シナリオも重要な検討事項です。まず、どのような業務があり、それらがシンクライアント上で動作するか、ということを検証する必要があります。
当社では業務環境であるWindowsの検証を行いました。グループウェアをはじめ、開発環境などをSun Ray上での検証を行い、Windows環境のアプリケーションの大半は移行可能であることがわかりました。
一部移行できなかったアプリケーションに関しては、設定変更や改修を行うことで対応の目処が付いています。検証の方法や結果、ライセンス体系などに関しては、当社のノウハウとして蓄積することができました。
またシンクライアントシステムへの移行にあたっては、既存のPCのリース期間を最大限有効に使い、また本来の業務への支障を最小限とするような移行シナリオを検討し、実施する必要があるでしょう。
当社では、お客様の既存システム環境をふまえて、導入効果の期待できる適用業務とシンクライアントの実現方式を検討し、シンクライアントへの適切な移行シナリオを作成し、実行していくためのソリューションを提供いたします。
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著者プロフィール
TIS株式会社 小林 千恵
事業統括本部 産業第3事業部 基盤ソリューション部
オープン系システムのインフラストラクチャ設計・構築を経て、TIS社内における基盤フレームワークを策定。現在はシンクライアントをはじめとする基盤ソリューションのアカウントSE・プリセールス業務に従事。
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