Red Hat Enterprise Linuxにはデスクトップからサーバ、開発まで、ほぼすべての分野の代表的なアプリケーションが付属している。ただしそこに含まれるパッケージは、すべてオープンソースソフトウェアである。特許が設定されていたり、配布が制限されているソフトウェアは含まれていない。
部分的に知的所有権の問題が発生する可能性があるソフトウェアも含まれているが、問題のある機能は削られている。したがって事実上無償で配布されているソフトウェアでも、ライセンスが非オープンソースであれば、どれほど影響力の強いソフトウェアもRed Hat Enterprise Linuxには含まれることはない。
例えば、サウンドの圧縮コーデックであるMP3には特許が設定されているため、Red Hat Enterprise Linuxに含まれるサウンド関連のソフトウェアからはMP3の機能は削られている。またWebアプリケーションで使われるJavaも、最近まで非オープンソースのライセンスで配布されていたため、Red Hat Enterprise LinuxではSunのJava互換のGNU Javaが含まれている。
Red Hat Enterprise Linuxには、GNOMEのユーザインターフェースを使ったGUI管理ツールが付属している。
KDEをベースとする他のディストリビューションと較べると、Red Hat Enterprise Linuxの管理ツールは設定項目の数が少なく、細かい設定が省略されている個所もある。一般的な使用場面で特に問題になるほどではないが、省略されている部分の設定はコマンドやテキストエディタによる設定ファイルの編集などが必要になる。
またRed Hat Enterprise Linuxのアプリケーションではないが、Red Hat Enterprise Linuxでは、Red Hat Networkによるパッケージやシステムの管理機能を利用することができる点がユニークだ。
Red Hat Networkは、Red Hat Enterprise Linuxのサポートの基本となるサービスで、インターネットに接続したホストから、複数のシステムを対象とするパッケージの管理やシステムのアップデートなどを集中的に行うことができる。多数のホストを管理する上でたいへん便利なツールだ。
図3:Red Hat Network (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
サポート
Red Hat Enterprise Linuxのサポートには定評がある。利用にかかるコストが事実上サポートの契約料金であることを考えれば、サポートが充実しているのは当然かもしれないが、セキュリティアップデートのタイムラグは最短の部類に入り、Red Hat Networkによるシステムのアップデートも使いやすい。