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テキストマイニング
顧客の声を活用するテキストマイニング

第1回:テキストマイニングとは

著者:野村総合研究所  神田 晴彦   2006/11/21
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データマイニングからテキストマイニングへ

   詳細な技術やその成功事例などについては次回以降、順を追って詳説していくが、ここで我々ビジネスインテリジェンス事業部のプロフィールについて簡単に紹介したい。

   90年代から我々のチームでは、「企業内に蓄積された顧客情報や販売実績、商品情報を分析して、ビジネスに役立つルールを発見する」という、いわゆるデータマイニングのプロジェクトを数多く手がけてきた。

   データマイニングの代表的な例では「週末には紙おむつとビールが一緒に売れる」や「シリアルと一緒に牛乳だけでなくバナナが購入される」など、蓄積された顧客行動のデータから人間では把握できないルールを発見することである。ここから併売などの施策を検討するという話を耳にしたことがある読者もいるのではないだろうか。

   しかし、実は分析作業を進めていくと、このような定量データの分析には限界がある。グラフや得られたデータを眺めても、「なぜ」という疑問が解消されない場面に頻繁に遭遇するのである。読者の中にも自社の業務の中でこのような経験をした方が少なくないと思う。

   当初より我々は、データベースに入力された内容の「特記事項」や、アンケートの「ご意見・ご要望」といった定性的なデータこそ、「購入金額」や「年齢」のような数値データの分析だけでは見えてこなかった、より具体的な商品改善やサービス改善につながる「ヒント」が溜まっている「宝の山」ではないかと考えていたのである。

   しかし、それらは分析が困難な日本語の文章そのものによるテキストデータであるため、微妙な言葉の意味まで解析できる、まったく新しい仕組みを開発する必要があった。それが2001年にリリースされたテキストマイニングツール「TRUE TELLER(トゥルーテラー)」である。発売以来、200社を超える企業・団体において、「顧客の声」活用のための支援を行ってきた。

   本連載では、テキストマイニングの技術や分析方法を紹介するとともに、これまでのコンサルテーションや活用支援プロジェクトの経験を踏まえて、成功事例や失敗しないためのポイント、そして今後の展望までを言及していきたい。


今回のサマリー

   テキストマイニングとは、アンケートやコールセンターの問合わせ履歴情報、営業日報やコミュニティサイト、ブログなどの言語情報を分析し、ビジネスに有益な情報を抽出するための方式である。

   次回では「声の活用状況とテキストマイニング技術」をテーマに解説を行う。

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株式会社野村総合研究所  神田 晴彦
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  神田 晴彦
野村総合研究所ビジネスインテリジェンス事業部にてテキストマイニングを活用したCS調査や、データマイニング分析コンサルティングを数多く手がける。近年はテキストマイニングによるBlog分析やFAQ構築、品質管理・経営層向けのポータルサイトの構築を実施している。また人材育成プロジェクトも担当し、日本で最初となるテキストマイニング認定試験の企画に携わる。


INDEX
第1回:テキストマイニングとは
  はじめに 〜顧客の声を活用するということ〜
  顧客の声を活用する上での課題
データマイニングからテキストマイニングへ