TOPキーパーソンインタビュー> 第2回:オープンソースによる展開がキー!Scalixの戦略
2007年日本上陸!Scalixのメールソリューション
第2回:オープンソースによる展開がキー!Scalixの戦略
前のページ  1  2   3  次のページ
— オープンソース化することでどのようなメリットを期待できますか
ブラウワー氏: 開発という視点からみると、多くのコミュニティ参加者の活動によって、効率的な開発モデルを実現できます。その結果としてユーザ、とくに巨大なスケールを持つエンタープライズユーザによりよい製品を提供することができるというメリットがあります。

   ユーザから寄せられた直接的な意見をフィードバックすることで、よりよい製品開発が可能になります。さらに、コードを開発者コミュニティに公開することによって、様々なテストの実施や幅広いプラットフォームセットへの対応、多くの言語への対応が可能となります。

   またソースの公開によって、様々なLinuxディストリビューションに採用され、配布される可能性も高まります。このような連携によってオープンソースをリードする人たちとのパートナーシップが強化され、様々な統合ソリューションの蓄積も進むでしょう。

オープンソース化で迅速な機能拡張を実現
図2:オープンソース化で迅速な機能拡張を実現
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


— ユーザにとっての具体的なメリットは何でしょうか
ブラウワー氏: ユーザにとっては、多数のプラットフォームやデバイスの対応や各言語へのローカライズが積極的に行われることが大きなメリットになるでしょう。

   また、Scalixを選択した企業ユーザの多くは、オープンソース化は製品の長期的な成長を保証する重要な要因だとみなしています。それは、オープンソース化によって様々な開発者の支援を受けることで、カスタマイズできる機能が拡張し、さらに選択肢が広がることを知っているからでしょう。

   実際オープンソース化することで自分たちだけではできなかったたくさんの開発や翻訳活動が行われています。またScalixは、SendmailやApache、Tomcatといったオープンソースコンポーネントの恩恵を受け、開発が進められました。今後はScalixからオープンソースコミュニティに恩返しをする番だと考えています。


— オープンソース化することによるリスクやデメリットはありますか
ブラウワー氏: 考えられるリスクは2つあります。1つのリスクはプロジェクトが分かれることです。それはScalixに興味を持っている方を混乱させますし、コミュニティの中にある才能やアイデアが湧き出る泉の勢いを止めてしまいます。このリスクを小さくするため、製品に価値を付加し続けレベルを高めると同時に、オープンソースプロジェクトに参加する開発者たちに方針を明確にするようにしています。

   もう1つのリスクは、何をオープンソースとしてリリースし、何を商用ライセンスでリリースするかという決定です。私たちはコミュニティの活性化や成長のためにソースコードを公開することと、営利企業としてScalixを維持するための収入を生み出すエンタープライズ製品を展開することの間でバランスを取り続ける必要があります。

   またこれはリスクではありませんが、ソースコードを公開して人目にさらすには、プロダクトの品質基準とプロダクトのロードマップもオープンになっている必要があります。

   これによって、企業としての戦略や方針がより統一され明確になりましたし、ユーザとコミュニケーションする場合は事前準備をしっかりするようにしなければいけないと気持ちが引き締まりました。われわれはユーザとパブリックフォーラムをはじめ、様々な場所でコミュニケーションしていますし、すべてのユーザの声はまじめにフィードバックしています。


— 日本でのビジネス展開はどのように行われていますか
久保氏: 日本での展開として、販売やサポートに加え、Scalixに関する様々な情報を日本語で提供するために、株式会社サードウェアが協力して日本スケーリックス株式会社を設立しました。

   Scalixを提供するためには、メールシステムやグループウェア、Linux OS、そしてウイルスやスパム対策、クラスタ技術など、周辺アプリケーションに対する豊富な経験が必要です。また、オープンソース化に伴ってユーザコミュニティと良好な協力関係を築いていく必要もあります。

   日本スケーリックスは東京都中央区にオフィスを構え、国内のユーザやコミュニティに高品質の製品、サポートを提供していきます。また、Scalix Corporationと共同で製品の日本語化にも取り組んでいきます。


前のページ  1  2   3  次のページ