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勝ち組に学ぶ導入事例2007
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第1回:災害に強いシステム構築〜LifeKeeperによるディザスタリカバリソリューション

著者:サイオステクノロジー  羽鳥 正明   2007/1/18
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ディザスタリカバリソリューションの必要性

   2005年に経済産業省から発表された「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)策定ガイドライン」にも、「企業経営者は、企業存続の生命線である『事業継続』を死守するための行動計画であるBCPの策定を行なわなければならない。

   BCM(Business Continuity Management)は『企業経営のあり方』そのものである」や、「事業の継続を死守するための行動計画が不可欠である」などが記されており、BCPを遂行しない場合、顧客や社会からの信用を失い、業務の停止や事業からの撤退というシナリオも想定されるという。

   BCPのすべてを策定するには膨大なコストや時間、ならびに労力が必要である。その中でもITシステムを自動的に回復させるのに非常に有効なのが、ディザスタリカバリソリューションである。

重要度にあわせたシステムの保護

   BCPとは別にしても、一般的にITシステムは規模や重要度が大きくなると、システムの保護を徐々に手厚くすることが重要である。例えば、しばらく停止していても何とかなるようなシステムなどはあえて保護する必要もないかもしれないが、これがデータベースの更新を伴うようなシステムであれば、その定期的なバックアップが必要となる。

   通常、バックアップは毎日もしくは毎週などのように、ある程度の間隔を置いて行うこととなるが、もしデータが顧客の信用に関わるような重要なものであればシステムダウンによる損害や信用の損失も免れない。そのようなシステムにはバックアップの対策だけでは不十分であり、リアルタイムにデータを保護することを考えなければならない。

   リアルタイムにデータを保護するにはいくつかの方法があるが、ミラーリングと呼ばれる手法でデータの複製を取ることが一般的である。ハードディスク領域をミラーリングするものから、大規模になるとストレージ装置同士でのミラーリングすることも可能である。

   ただし、リアルタイムにデータのバックアップを取ったとしても、先ほど述のように災害によってシステム全体での障害が発生する可能性があることを忘れてはならない。そのような障害からシステムを防ぐには遠隔地にシステムのバックアップを保持しておく必要がある。

   ただし、その場合はどうしてもバックアップを取得してから障害が発生する間のデータは失われてしまうこととなる。そのようなデータ損失をも防ぎたい場合に用いられるソリューションがディザスタリカバリである。では、今回の事例でも紹介したLifeKeeperについて詳しく見ていこう。


LifeKeeperによるディザスタリカバリ

   ディザスタリカバリには様々な手法がある。サーバ自体にデータを持たずに、外部のストレージにデータを集約し、そのデータを高速でコピーを取るようなアプローチを用いることが多い。ただしその場合はどうしてもストレージ装置に掛かるコストが大きく、またシステム設計も複雑になるため、導入するのは敷居が高くなる。

   当社が開発ならびに販売を行っているハイアベイラビリティ(HA:High Availability)クラスタソリューションである「LifeKeeper」は、本来はサーバの2重化によってシステムの継続稼働を行うソフトウェアソリューションであるが、サーバに内蔵されたハードディスクドライブの情報をリアルタイムにコピーする機能も持っている。

   内蔵ディスクのデータをコピーすることで、複数システムが常に同じ状態を保ち、常にLifeKeeperがシステムの死活監視を行っている。このシステムをデータレプリケーションといい、LifeKeeperでは「SteelEye Data Replication」機能で実現している(図2)。

SteelEye Data Replication
図2:SteelEye Data Replication

   万が一、稼働系のシステムに障害が発生した場合は、LifeKeeperが障害を検知して、自動的に予備システムに業務を切り替える。そのため、クライアントからすれば、ほんの数十秒から数分システムが止まったかのように感じられるが、その後はまた元通り業務が再開される。

   内蔵ディスクのデータコピーを行う場合は、通常ギガビットLANなどのような高速なTCP/IPネットワークで行われるのだが、これを広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)経由にすることによって、ディザスタリカバリソリューションとして応用することが可能である。

   WAN経由というとパフォーマンスに不安を持たれる方もいらっしゃるかもしれない。しかし最近ではネットワークインフラが急激に整備されてきていることや、LifeKeeperでもWANにおいてのスループットを90%以上にフルに利用できるようチューニングを施していること、データ転送する際に圧縮を掛けていることなど、以前と比べてパフォーマンスが格段に良くなり、ディザスタリカバリソリューションとしての導入が容易になってきている。

   また、データ転送の方式も最新バージョンではWindowsならびにLinuxの両環境での非同期方式をサポートしており、遠隔地同士のデータレプリケーション構成に適している。以下に同期方式と非同期方式の違いについて簡単に説明する。

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サイオステクノロジー株式会社 羽鳥 正明
著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社  羽鳥 正明
グローバルビジネス支援本部 広報部 グループマネージャー
1991年、日本ユニシスに入社、PCのマーケティングとして米国ユニシスのリエゾンを経験。その後コンパックコンピュータにてIAサーバのマーケティングを担当。現在はサイオステクノロジーにて製品の広報活動に従事。


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第1回:災害に強いシステム構築〜LifeKeeperによるディザスタリカバリソリューション
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