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勝ち組に学ぶ導入事例2007
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第1回:災害に強いシステム構築〜LifeKeeperによるディザスタリカバリソリューション

著者:サイオステクノロジー  羽鳥 正明   2007/1/18
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ディザスタリカバリソリューションとは

   ディザスタリカバリソリューション(Disaster Recovery Solution)とは、簡単にいえば「災害からの復旧」となる。本来は自然災害を前提に考えられていたが、かの9・11のニューヨークでのテロのように、自然災害ではなくとも企業システムが壊滅的なダメージを被るような場合も考えられる。

   日本においては大規模地震などによるIT設備への被害が懸念されている。そこでは、設備の被害はもとより、ダウンタイムに伴うコストの損失も膨大なものとなる。特に企業の基幹業務を行っているシステムにおいては、1分1秒が大変重要な時間となる。

   例えば地震によって交通機関が遮断されたり、建物自体に入ることができないがために、システムの復旧に予想以上の時間が掛かったというケースも見受けられる。また、重要なシステムが停止すると、取引先や顧客の信用低下も招く恐れがある。

   そのような場合に、企業システムが稼働し続けるような対策を講じることを総称してディザスタリカバリソリューションと呼ぶ。

LifeKeeperを使ったディザスタリカバリ導入事例

   今回はイギリスのアセットマネジメント会社「New Star」が、GUI操作だけでHAクラスタが構成できるLifeKeeperを用いて、電子メールならびにコラボレーションウェアであるMicrosoft Exchange Serverをディザスタリカバリ構成にした事例を紹介する。

   2000年に設立されたNew Starは、当初より顧客情報の管理と電子メールの処理をMicrosoft Exchangeを利用して行っていた。当時、システムはデータセンターに配置され、バックアップを定期的に取ることでシステムの保護を行っていた。


データセンターでの盗難事件

   ところが、今から2年前のある日、データセンターで盗難事件が発生し、86個のハードディスクが同社のサーバから引き抜かれてしまうという大きな被害を受けてしまった。

   そこでシステム担当は、86個の新しいハードディスクを購入し、定期的にバックアップしていたデータを新しいハードディスクに戻す作業を急ピッチで行った。しかしながら、システムを完全に復旧させるのに結局2日間も掛かってしまい、その間、顧客情報にアクセスできなくなったため、営業活動が完全に停止してしまった。

   そして驚いたことに、ファンドマネジャーや従業員の業務がMicrosoft Exchangeのコラボレーション機能にかなり依存していることが、システムがダウンしてはじめてわかったということである。

   つまり、電子メール機能よりもアポイントを記入したカレンダーや連絡先機能が重視されていたのだ。そのため、将来的にはMicrosoft Exchangeは300人の従業員が常にオンデマンドで利用できるようにならなければならないことがわかった。


5,500キロメートル離れた土地にデータを複製

   そこからNew Starによるシステムの再構築が開始され、同社はLifeKeeperのExchangeソリューションスイートを採用することを決定した。当初、同社の電子メールシステムは社内の同ビル内でのサーバ間で複製を行うことを想定していた。

   試験運用の検証結果を経て、LifeKeeperに標準搭載されているData Replicationを利用してロンドン市内のナイツブリッジの拠点と、ロンドン東部のドックランドの拠点との間でWAN経由でのデータレプリケーションを行うことに踏み切った。

   それ以来、同社は海を隔てたアイルランドのダブリンオフィスから、そして2006年の8月にはロンドンより5,500キロメートルも離れた大西洋のバミューダのオフィスからもWAN経由によって電子メールデータの複製を行うという導入を展開していった(図1)。

New Starのディザスタリカバリ構成図
図1:New Starのディザスタリカバリ構成図
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ディザスタリカバリのシステムをLifeKeeperとData Replicationで構築したNew Starは、実際システムを導入した後も定期的にシステムの完全シミュレーションを行っている。年に3回、Webサイトのシステムを計画的に停止させ、自動的にリカバリーサイトに業務を引き継ぐことを確認しているそうだ。

   完全シミュレーションは、システムが想定通りに稼動していること、そしてインフラの堅牢性を確認するためには欠かせないことである。せっかくディザスタリカバリソリューションを導入してもいざというときに機能しなかった場合、目も当てられないからである。

   New Starでは複数回のシミュレーションを行い、LifeKeeperが期待通りの結果をだしてくれたことに非常に満足しているとのことだ。このように、ディザスタリカバリソリューションを導入する際には、システム導入前のみならず導入後においても、定期的なシステムの稼働確認を行うことが大変重要である。

   今後New StarはMicrosoft Exchangeにとどまらず、BizTalk、Oracleデータベース、そしてSQL Serverといったアプリケーションもディザスタリカバリシステムにすることを検討している。

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サイオステクノロジー株式会社 羽鳥 正明
著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社  羽鳥 正明
グローバルビジネス支援本部 広報部 グループマネージャー
1991年、日本ユニシスに入社、PCのマーケティングとして米国ユニシスのリエゾンを経験。その後コンパックコンピュータにてIAサーバのマーケティングを担当。現在はサイオステクノロジーにて製品の広報活動に従事。


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INDEX
第1回:災害に強いシステム構築〜LifeKeeperによるディザスタリカバリソリューション
ディザスタリカバリソリューションとは
  ディザスタリカバリソリューションの必要性
  同期方式
勝ち組に学ぶ導入事例2007
第1回 災害に強いシステム構築〜LifeKeeperによるディザスタリカバリソリューション
第2回 オープンソースを採用したシステムインテグレーション事例とSLA