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情シスマネージャの挑戦!
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第2回:社内のIT要員を使える「エンジニア」に変える

著者:有田 若彦   2007/1/30
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適性と弱点を見極め「使える」人材に育てる

   オープンシステム時代に必要なITスキルや業務遂行スキルについては、既に多くの方が言及しているので割愛する。

   ここでは、そのスキルをどのように獲得するかをいくつかの視点から考えてみたい(図2)。
エンジニア育成における考慮点
図2:エンジニア育成における考慮点


適性と弱点の把握

   こうした厳しい時代になっても「あの人はデキないから」といって、仕事を任せられないような社員を抱える企業は少なくない。だが、これは適性を見誤っている場合が多いようだ。たとえ、本当に0.5人分の能力しか発揮できないとしても、貴重な経験と戦力はムダにすべきではない。

   これは筆者の実際の経験談だ。熟年のCOBOLプログラマで、オープン系システムに付いていけない社員がいた。誰もが彼を「使える」ようにするのはムリだと考えていた。だが彼は部内の誰よりも、確実に細部までコードを読み切る能力を持っていた。

   そこで、古いシステムを新しい言語システムに置き換えるミッションを与えながら、少しづつではあるが新しいITの習得を試みた。すると、今では積極的に新しい案件に挑むまでに成長したのだった。

   もう1つ忘れてはならないのは、弱点の克服だ。弱点には、当人が克服できる場合とそうでない場合がある。

   先の例でいえば、彼の最大の弱点は優先順位付けがうまくできないというものだった。優先順位付けは、様々な情勢からの判断が求められ、ベテランでも難しい意思決定作業の1つだ。この点を、複数のメンバーで論議して決定するように、仕事のやり方を変えることで克服できた。

   その結果、彼はOJTを通じて優先順位付けの能力を養え、会社側としても人材の損失を免れることができたわけだ。


分散させる

   前述のように、オープン系システムはメインフレーム系と異なり、幅広く奥が深い。これを限られたメンバーでカバーし、キャッチアップしようとするのは限界がある。

   1人のSEに全領域を網羅させるのは効率が悪い。むしろ、要素技術別に担当を分ける方が効果的だ。例えば、IT法務・税制担当、ネットワーク担当、システム監査担当やUNIX担当など、自社にとってコアになる技術や要素ごとに振り分けるのだ。

   こうすることで、ある程度の幅で深くキャッチすることが可能になる。もう1つ忘れてはならないのは、専門は2つ持つということだ。専門を1つに絞ると、得てしてその殻に当人が閉じこもってしまい、担当の固定化や独断専行を招きやすくなる。その対策としても、2つの専門を持つことは多能化を促し効率的だ。特に、同じ専門分野を異なった角度で論議できるようになり、仕事に奥行きと幅がでてくる。

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有田 若彦
著者プロフィール
有田 若彦
製品開発技術者やFAエンジニア、SEなど、一貫して製造業のエンジニアリングを歩む。現在は、某化学メーカーの情報システム部に所属。グループウェアの全社展開やDWH/BI、汎用機ダウンサイジングなどのプロジェクトのほか、EUCやEUDの案件を経験。目下は、IT企画やITマネジメント、IT教育、システム監査など多方面を担当。システムアナリスト、CISA公認システム監査人、ITC公認ITコーディネーター、経営品質協議会認定セルフアセッサー、行政書士。


INDEX
第2回:社内のIT要員を使える「エンジニア」に変える
  IT要員は活用されているのか?
適性と弱点を見極め「使える」人材に育てる
  ITSSを使って客観的にレベルを把握