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| ITSSを使って客観的にレベルを把握 | ||||||||||||||||
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むやみやたらに、学習を強いるのも感心できない。費用も時間もロスするからだ。まずは、各人のレベルを把握することが大事だ。その上でさらに積み増しするのか、方向転換するのかを見極めなければならない。 |
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| ガイドラインを活用する | ||||||||||||||||
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そのためには何らかのガイドラインにのとり、指導する者とされる側との共通の「モノサシ」を使って、互いに納得しながら進めていく必要がある。 スキルのガイドラインは、各教育機関がロードマップという形で用意しているので、それらを参考にしてレベルを把握すると良いだろう。情報処理推進機構が公開している、ITSS(ITスキル標準)を使う手もある。当社でもITSS診断テストを使って、客観的にマネジメントスキルやITスキルを把握している。普段は肌で感じていることが、意外にズバッと診断結果で指摘されており、以後の指導もやりやすい。 |
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| 資格で評価しない | ||||||||||||||||
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スキル獲得の奨励が度を越えて資格取得が目的となり、本業の仕事がおろそかになるケースがある。これは、資格取得を業績評価に加えていることに起因している。 何のためのスキルアップなのかを考えれば、該当する職位にふさわしい振る舞いをしてほしいからに他ならない。課長なり、係長なり、補佐役なり、そのレベルにふさわしい能力の発揮を望んでいるのだ。つまりITの資格でなく、職能レベルに見合った能力が「発揮できているか」の観点で評価しなければならない。 そこで成長基準として、「職位別に何ができなければならないか」を定義してみてはどうだろうか。当社では「標準人物像」と勝手に呼んでいるが、職位別に到達点を明らかにしている。 上長はこれを判断基準にして「君のレベルなら、こういう仕事ができる必要がある。だから○○の能力を身につけ、△△の行動をしろ」と指導できる。一方、部下も現実と理想のギャップを埋めるように考えて行動できるわけだ。 |
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| 指導者が伴走しスキル定着に一役 | ||||||||||||||||
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スキルは定着させてこそ価値がでる。前述のように、実務で活かさなければ意味がないのだ。使いこなせるようになるまで、環境を整え、また誤って理解している場合は、修正できるように伴走指導者は手助けする必要がある。 ここでいう伴走とは、手取り足取り教えるという意味ではない。一緒に悩んだり助言を与えたりするということだ。 この方法は、ペースがつかめない新入社員やITが苦手なメンバーに特に有効だ。着目の仕方や調べ方、学び方、ひいては読書の仕方まで指導し、ある程度力が付いたら自力でできるようになるまで伴走する。まるで、今流行の受験劇画「ドラゴン桜」のようだが、要領はこれとまったく同じだ。 伴走でもう1つ大切な点は、教育と仕事をリンクさせることだ。 実際に使う機会がなければ英語が上達しないのと同じで、使わない技術をいくら見聞きしても身に付かない。むしろ、インタラクティブに受講できるようにするか、身につけた技術が活かせるように仕事上で配慮しなければならない。 これも実話だが、「ITは苦手です」といってはばからない女性社員がいた。彼女の仕事のほとんどは書類の作成だった。そこで一計を案じて、ペーパーレスのミッションを与えてファイルサーバを立てさせた。 はじめは、怖がって設定すらできなかったのだが、一緒に作業することでどうにか対処できるようになった。次はIDの設定、その次は共有フォルダーの設定と、次々に課題を与えた。すると、参考書を片手に頑張りはじめた。今ではファイルサーバに飽きて、ドキュメントDBにまで手を染めはじめ、あちこちの講習に参加するなど研究に余念がないほどだ。 |
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| 使う当てのない技術は身に付かない | ||||||||||||||||
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以前は当社でも、情報処理技術者資格レベルの知識は身につけるべきと考え、受験を奨励し義務化したこともあった。だが、これはむしろプレッシャーを与え、「使う当てのない技術は身に付かない」という教訓を生んだだけとなった。 ITベンダーなら済まされない問題だが、ユーザ企業にとっては、いかに迅速に社内ニーズに応えるかが最重要テーマだ。つまり、IT部員は資格取得がミッションではなく、良い仕事をするのが目的だ。逐次、必要な時に必要な技術を身に付けるのが効果的なようだ。 まずは、コア技術を社内に蓄積して継承し、社外の協力ベンダーをコントロールできる状態にしておくことが必要だろう。 次に、カバーしきれない部分や捨ててもいい部分を社外の専門家、つまりコンサルタントやアウトソーサーに担当させるのだ。 「社内に情報システム部は不要」と結論づける前に、必要な人材を育成してきたのか、社外の専門家をコントロールできる力は備わっているのかといった点を十分議論してほしい。
参考文献
『理系思考エンジニアだからできること』:大滝令嗣著、ランダムハウス講談社刊 |
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