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情シスマネージャの挑戦!
IT部門の改革に取り組む人必見!ある情シスマネージャの挑戦

第6回:企業トップとの積極的な対話で経営戦略とITを効果的に連係する

著者:有田 若彦   2007/4/5
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経営者と直接対話し活路を開く

   では、どうすべきか?

   筆者は、意思決定に関与する経営者を一同に集めた直接コミュニケーション(対話)が効果的だと考えている。

   その効果には、次のようなものがあげられる。
  • 双方向の効率的な対話
  • 経営者同士の対話と理解の促進
  • IT技術以外の複雑な問題に対する理解促進
  • リーダーシップの必要性の再理解
  • 各専門的見地からのトップレベルの問題解決

表3:対話の効果

   だが、むやみやたらに対話すればいいというものではない。それなりのルールや工夫、コーディネイトが不可欠となる。

   例えば筆者の会社では、スコラ・コンサルトが提唱している「オフサイトミーティング」という手法を使っている。オフサイトミーティングは、もともと「企業風土」の改革のために考え出されたものだ。

   これは、通常の会議とは異なり、次のような特徴を持っている(図2)。

オフサイドミーティングの進め方
図2:オフサイドミーティングの進め方
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   このミーティングは、上記原則の範疇で「本音」を出し合うことによって、「アイデアの共有」や「気づき」を生み、組織風土の改革の土台を形成していくものだ。

   経営者とIT部門との対話は、このルールの枠組みを遵守しつつ、話題を特化することで、双方の理解を促進しようとする試みというわけだ。

   なお、ここで紹介しているITオフサイトミーティングは、スコラ・コンサルトの本来のそれとは若干異なり、弊社流にアレンジしているものだ。


IT部門がミーティングを運営し基本的な論点も提供する

   ミーティングは基本的にIT部門が運営し、基本的な論点も提供する。

   経営企画部門が主催する方法も考えられなくはないが、これではIT部門の主体性を欠く。他人に主導権を握られると、対話の場が懺悔の場に変わらないとも限らない。対話メンバーやテーマ、日時などは自分たちでコントロールできるようにしておくべきだ。

   また「対話させてもらう」ではなく、「対話したい」という強い気持ちがなければ、とても長続きするものではない。

   参加者は経営の意思決定に関わる全員を対象とし、IT部門の参加メンバーはできるだけ少人数が望ましい。

   オフサイトミーティングは、説得の場ではないものの、「わかってもらう」「経営者の思いを受け止める」ことが前提になる。そのため、こうしたことに長けているメンバーが、ある程度の質疑に対する詳しい説明を用意しておくに越したことはない。ただし、事前の根回しは禁物だ。

   ミーティング時間は可能なら数ヶ月に1度の1日合宿。これが難しいようなら、1コマ3時間から4時間のミーティング時間は確保できるようにしておきたい。

   参加者数によるが、オフサイトミーティングをやっていて感じるのは、「時間がいくらあっても足らない」ということだ。わかりやすく説明することに時間がかかることはもちろんだが、話があちこちに飛び火したり役員同士のディスカッションが自然発生し、話が尽きないというのが実情だ。

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有田 若彦
著者プロフィール
有田 若彦
製品開発技術者やFAエンジニア、SEなど、一貫して製造業のエンジニアリングを歩む。現在は、某化学メーカーの情報システム部に所属。グループウェアの全社展開やDWH/BI、汎用機ダウンサイジングなどのプロジェクトのほか、EUCやEUDの案件を経験。目下は、IT企画やITマネジメント、IT教育、システム監査など多方面を担当。システムアナリスト、CISA公認システム監査人、ITC公認ITコーディネーター、経営品質協議会認定セルフアセッサー、行政書士。


INDEX
第6回:企業トップとの積極的な対話で経営戦略とITを効果的に連係する
  IT側と経営者のギャップ
経営者と直接対話し活路を開く
  日常業務と隔離された開催場所とする
  トップとIT部門がいいたいことをいえるところからすべてが始まる