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データ指向アプローチ
DOAとは何か!〜開発現場から見るDOA〜

第4回:届いてないよ、聴かせてよDOA

著者:システムズ・デザイン  DOA推進ワークショップ   2007/6/7
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DOAの認識を妨げないために

   DOAの一般的解釈を考えるた場合、筆者をはじめとするSE・プログラマが持つ苦悩は、直接DOAの認識を妨げているように思えます。

   特に以下の3つの点に注意する必要があります。

ドキュメント

   DOAを採用したシステム開発が行われた場合、業務をもれなく分析した成果物であるドキュメントが作成されます。

   そのドキュメントの品質を保つには、その後にシステム改修が行われた場合、その内容を追加更新していかなければなりません。しかし、以下のような事態が1回でも発生すると、当初の品質は保証できなくなります。

  • 改修の結果をドキュメントに反映しない
  • DOAを意識していない担当者がドキュメントを更新していく

表6:ドキュメント作成時に避けるべき項目

   もちろんドキュメントを残さないということは論外ですが、ドキュメントを残したとしても最終的にはDOAの目指す方向からかけ離れた結果になってしまいます。


システムの改修

   業務の分析を行い、データの流れを精査しても、諸事情によりすべてを反映することができないことがあります。さらに、すべてのシステムにDAが関われないため、前述のようなドキュメントの問題が起こり得ます。

   これは、実際に瑕疵のあるドキュメントが残っているところからも推測できます。

   そのため、つじつま合わせの処理が多発し、業務内容の変更などにかかる時間や費用を適切に逓減させることができていません。


クライアントの意識

   筆者のようなSEやプログラマに作業は、常にシステム担当者が窓口となって業務を進められます。よって、DAが分析したことや問題提起としてあげたことをシステム担当者がそのまま認識できなければ、筆者らには一切伝わりません。

   これは、業務内容を共通の認識として捉えることの妨げになっている可能性があります。


DOAを推進していくためには

   実際の現場でDOAが普及しきれていない原因の1つとして、筆者らはもちろん、クライアントも含めた開発に携わる人たちの意識の持ち方に問題があるのではないでしょうか。

   筆者をはじめとしたSEやプログラマの感じている「DOAに対する意識」は図3のグラフのようにあらわすことができます。

DOAに対する意識
図3:DOAに対する意識

   DOAを意識していくうえで大切なことは、以下の2つに集約することができます。

  • 上流工程担当者は、後の工程を担当する人に「共通の認識」を意識して伝える
  • 開発者は、データ項目や処理が業務の何に関係するのかという「意識」を持って仕事をする

表7:DOAを意識していくうえで大切なこと

   これらを繰り返し行うことで、現場にDOAが根付いて行くはずです。

   上流、下流工程関係なく、現場の人間1人1人がDOAを「意識」することが不可欠だということです。また今回の記事を執筆したことは、筆者たちがDOAを振り返り、DOAを「意識」するよい機会になったことを付け加えておきます。

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システムズ・デザイン株式会社 DOA推進ワークショップ
著者プロフィール
システムズ・デザイン株式会社  DOA推進ワークショップ
ビジネス解析方法論であるDOAと、開発プロセス方法論であるRAD、ウォーターフォール、UPなどを現場の最前線で適用している技術者を中心に開設した、sdc独自のワークショップ。PDCAサイクルを回して、さらなる進化と「確かなモデリング∧確かな開発プロセス→いい仕事」の可能性を追求する。


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