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経営の可視化
企業活動と経営の可視化

第1回:企業の生産活動をどのように可視化していくか

話者:オープンストリーム  赤穂 満   2007/2/21
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情報のライフサイクルマネジメント

   では、生産・販売情報とはどのようなものであろうか。

   企業や組織には多種多様かつ膨大な情報が蓄積されているが、ユビキタス社会にける情報は流通するのも陳腐化するのも速いため、その鮮度や品質の管理がもっとも重要なのである。

   すなわち、情報の生成や廃棄の時期、有効性、内容、利用範囲など「情報のライフサイクル」に応じた、適切な保管・管理と活用が重要になってくるのである。
マネジメント情報の集約
図3:マネジメント情報の集約
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   またコンプライアンスの観点においては、個人情報保護法や日本版SOX法などの法令を遵守がある。そのため各企業は電子化された膨大な企業情報や活動履歴などから、必要なときに必要な情報を素早く見つけ出すことや、記録・生成から破棄に至るまで、適切に管理し運用することが求められる。この点においても情報の管理は重要であろう。

   次に「製品ライフサイクル」「原価管理」「調達管理」の視点から、情報のライフサイクルマネジメントの実現について解説する。


製品ライフサイクル管理〜PLMの視点から

   製品を部品表(BOM:Bill of Materials)で管理し、バリューチェーンに応じた情報をBOMに付加することで、「研究 → 開発 → 設計 → 生産 → 出荷」までの製品ライフサイクルに応じた情報が管理できる。

   これの特徴な点は、製品情報が品目レベルで管理されているために、より精度の高い製品情報を管理することが可能となることだ。通常、基幹システムでは品目レベルで生産情報を管理しているため、情報の抽出は可能であろう。


原価管理 〜原価企画の視点から

   通常は製品設計の段階で開発コストを設定し、「開発 → 設計 → 生産 → 販売」の各部門に対してコスト配分を行っていく。これは製品について各部門が管理する目標コストといわれるものである。

   設計部門や生産部門では、この目標コストに応じた原価低減活動を展開しながら、生産活動を実施していくことで、当初の想定した目標コストを維持していくことが可能になる。

   さらにこれら一連の結果を次の新製品開発時に活かすことによって、企業としての見積り精度の向上もはかることが可能となる。

   これを情報システムで実現する方式としては、先程説明した製品の構成情報(BOM)を明確に確定させることが重要なポイントとなる。


調達管理 〜SRMの視点から

   企業がサプライヤとの関係を見直し、その関係を戦略的にマネジメントしていくことで、企業はサプライヤと理想的な関係を構築し、戦略的調達の実現が可能となる。

   本来、SRM(Supplier Relationship Management)では設計から購買・調達に至る業務全体を統合的に改善することも含めて検討する必要があるが、ここではSRMとして必要なサプライヤの戦略的な管理方針や調達品目の管理を対象として検討する。

   次回以降では、これら3つのマネジメント手法とそれらの論点について解説していく。

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株式会社オープンストリーム  赤穂 満
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  赤穂 満
サービス推進兼SAXICE推進担当 統括ディレクタ
活動状況:これまでに、製品ライフサイクル、製品構成情報管理やビジネスモデルなどに関する解説記事、論文多数。
所属学会:日本設計工学会、経営情報学会、ビジネスモデル学会、正会員。


INDEX
第1回:企業の生産活動をどのように可視化していくか
  企業活動の可視化が求めらる背景
  経営層に求められるリアルタイム経営
情報のライフサイクルマネジメント