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| 処方箋その3「小さな成果を早くだして広く知らせる」 | ||||||||||||||||||
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アクティビティのギャップを埋めることは必ずしもシステムを抜本的に作り直すということを意味しない。より効率的で間違いの起きない運用の方法や補助的なツールの開発を行うなどの現実的な施策が重要である。 こうした施策は、現場と一緒に考えていかなければ本当に意味のあるものにはならない。しかし、アクティビティのギャップがすでに存在する場合、扱いづらいシステムを押し付けられている現場は定常的な不満を抱えている。 現状が改善されるといわれても、過去の経験から効果に懐疑的になっていたり、実現を諦めてしまっていたりする場合も少なくない。どれだけよい仕組みを作ったとしても、それに携わる人が自信を持って作業することができなければ、よい成果は期待できないのだ。 ここで重要となるのは、不満を抱えている現場に対して、一刻も早く「確かに変わるんだ。よくなっていくんだ」という実感をもたらすことだ。 そのために筆者が実施していることは、小さな成果を早くだすことであり、その成果を広く宣伝することである。通常、あるべき姿を定義したら、実現までの道筋を示し、中間目標をいくつか設定する。筆者は、最初の中間目標には必ず、効果は小さくてもすぐに実現できることを設定している。 そこで得られた効果は、現場担当者の言葉で、なるべく広範囲に知らせるようにする。その際には、朝礼や部門会議などの会議体をはじめ、社内報や社内掲示板などの比較的容易に利用できる媒体を中心に活用する。これは、宣伝効果も期待できるので有効だ。 効果は小さくとも、あるべき姿に着実に近づいたことで、過去の経験から改善に懐疑的になっている現場担当者に「本気で変えようとしている」ことを実感してもらう。また「がんばっているみたいだね」といった宣伝の反響が現場担当者に直接寄せられることで、自らの活動が周囲の注目を浴び、期待を集めていることが理解できるはずだ。これによって、さらなるモチベーション向上が期待できる。 前述の事例では、製造指図書の性能データによって汎用ICユニットを搭載できない場合の条件を定式化できることが、技術からの聞き取り調査で判明した。そこで、最初の中間目標を「ICユニットの仕掛データの振替ミスを検出できること」とし、直ちに表計算ソフトのマクロ機能を利用して、振替結果のチェック機能を作成した。 この機能により、汎用ICユニットを搭載できない製品の製造指示書に対して、誤って汎用ICを払い出してしまうミスを検出できるようになった。これを対策チームの最初の成果として、振替作業の担当者が経営会議で報告を行った。 経営陣からは感謝の言葉と次のステップへの期待を込めた激励メッセージが担当者に伝えられた。報告を終えた振替作業の担当者は「今回のことで、現場のことを大切にしてくれることがわかった。次のステップに向けて、気づいたことがあれば、自分からも提案していきたい」と語っていた。 |
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| アクティビティギャップを埋めた結果 | ||||||||||||||||||
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A社の事例では、処方箋が効き、無事にアクティビティのギャップを埋めることができた。その後は、個別原価計算の仕組みが定着化し、次のステップに向けての業務改善が進行している。 情報システム部門には、いわゆる「システムが使いものにならなくて困る」といった趣旨のクレームが減り、そのかわりとして「この作業をもっと早く終わらせるにはどうしたらいいか」といった相談が寄せられるようになった。 アクティビティのギャップを克服した先にあるのは、業務部門が情報システム部門やSIベンダーを巻き込んで、自分たちの仕事のやり方を主体的にデザインするという姿なのかもしれない。 次回はプロセスのギャップについて考察する。 |
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