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| インターネット新ビジネスの例 | ||||||||||||||||||
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次の例は、ショッピングサイトを運営する大手サービスプロバイダーB社の新サービス立ち上げで発生したスキルのギャップである。 B社は高級商材の品揃えに定評のあるショッピングサイトを運営してきた。しかし類似の競合サイトが続々と立ち上がってきたことも影響し、最近会員数が伸び悩みをみせていた。そこでB社は、サービスをリニューアルすることで競合と差別化することを企画した。 新規サービスはターゲットとする利用者層を絞り込み、先進的なデザインと操作性の高いユーザインターフェースを提供する方針とした。さらに多くの新機能を試す場としても活用し、利用者に受けのよかった機能は既存サイトへ導入していくことも狙っていた。 B社は新規サービスの開発を、既存のショッピングサイトを開発したときと同じ開発ベンダーに依頼した。B社は、新規サービスにAjaxを適用して商品の閲覧から購入までの操作を簡単でわかりやすいものにしたいと考えていた。当時、最先端技術であったAjaxを導入することによる宣伝効果にも期待していたのである。 ![]() 図2:Ajax導入による操作性の向上 開発ベンダーはそれまでのWebシステム開発と同様、サービスの開発がある程度進み、機能と画面の構成が確定した段階でサイトデザインを適用する計画で開発を進めた。しかし、デザインの適用を行う段階になって、問題が発生した。デザイン会社からデザインの適用に、想定以上の工数が掛かっているというアラートが上がってきたのだ。 開発中のサイトはAjaxを利用するため、HTMLやCSSの構成が動的に変更されるようになっていた。そのため、デザイン会社はどのようにスタイルを適用すれば意図したデザインになるのかがわかりにくい状態となり、設計意図を確認しながら試行錯誤しなければいけない状況になっていたのだ。 また、複数のWebブラウザへの対応にも手間取った。AjaxはJavaScriptベースの技術のため、ある程度Webブラウザに依存した動作となるのは想定していたが、工数削減のためフリーのJavaScriptライブラリを使用したことで、Webブラウザごとの挙動の違いが追いきれなくなってしまったのである。そこで一部の機能はライブラリの使用を止め、JavaScriptで1から作り込んだことで工数が増大した。 結局、問題への対応を行うためにリリースは予定よりも3ヶ月遅れた。そうしている間に競合サイトのいくつかがAjaxを用いたサイトのリニューアルを実施したため、「競合に先んじたサービスのAjax導入」という話題性はなくなってしまったのだ。 |
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| スキルのギャップは開発ベンダーのスキル不足に原因がある | ||||||||||||||||||
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これら2つのケースのいずれも、技術を使いこなせなかったことが、目論見どおりのシステム開発を行えなかった原因である。 1つ目のケースではシステムに必要な機能は実現できたものの必要なパフォーマンスがだせなかった。2つ目のケースでは技術を導入することによる影響範囲を見切れていなかったため、期間内に機能を実現することができず、ビジネスチャンスを逃してしまった。 スキルのギャップとはこのような失敗の原因であり、それはシステム実現に必要な技術を持っていないという、開発ベンダーのスキル不足によるものなのだ。 |
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