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PHPのすすめ
PHP開発プロジェクトの夢と現実

第3回:PHPの、その先にあるもの

著者:オープンソース・ジャパン  須藤 克彦   2007/6/25
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ヴィジュアルツール

   PHPはサーバ上で動くプログラムですが、最終的にはWebブラウザで表示されるHTMLファイルを生成します。従ってPHPでプログラムを書く際には、最終的に生成するHTMLについても知っている必要がありました。

   しかし、現在ではその必要をなくすツールが登場しています。

   HTMLを編集するためのツールは商用からオープンソースソフトウェアまで様々なものがありますが、その多くはWebページを作成するためのものです。そこに最近、PHPのプログラムも同時に編集することができるビジュアルツールが登場しました。それがCodeGearの「Delphi for PHP」です。

   後述するように、最近はアプリケーションロジックと画面デザインは分離して設計/開発することが一般的ですが、このようなビジュアルツールも1つの方向性であるといえるでしょう。

他言語との連携(言語ラッパー)

   PHPが動的なWebサイト構築の際の主流になってきたことについては何度か書きました。しかし一方で、これまでに他の言語で開発されてきた数多くのシステムも存在しています。

   Webシステム自体はJavaやCGIで構築されていました。またWebシステムとは直接関係のない業務システムについても、最近ではWebシステムと連携や統合を行いたいという需要もあります。

   このような旧来のシステムをすべてPHPで再構築するのは現実的ではありません。そこで、他のシステムはそのままに、PHPで開発されたWebシステムと連携させる技術が必要になります。

   「言語ラッパー」は、他の言語で書かれたプログラムはそのままにしておき、それらをあたかもPHPの関数のように呼びだせる仕組みです。上で紹介したZend PlatoformにはJavaブリッジと呼ばれるJavaのためのラッパーがあります。JavaをPHPから呼び出す仕組みは、PHPの標準ライブラリに含まれています。これはより効率的にJavaプログラムを起動するものです。

   これらを踏まえ、今後の方向として次のような流れが生じると思われます。

  • 基本的にはPHPによるシステム構築を行う
  • 他の言語で書かれた既存システムをPHPから利用するためのラッパーを使う

表1:今後のPHPの方向性

   後者は、パフォーマンスを度外視すれば、どのような言語にも応用できます。そのプログラムを起動するだけであれば特別な技術はいりません。問題は上のJavaブリッジのように、言語の特性に応じた効率化ができるるかどうかだと思います。

   このあたりの基礎技術開発もビジネスとして1つの狙い目になるでしょう。

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オープンソース・ジャパン株式会社 須藤 克彦
著者プロフィール
オープンソース・ジャパン株式会社  須藤 克彦
青森オフィス 代表
1980年立命館大学理工学部を卒業後、独立系ソフトハウスに入社。CやFORTRANコンパイラなどの言語処理系の設計・開発に約10年間従事。その後ユーザ系企業でUNIXによるクラサバの設計・開発を主導。同時に企業の内外で人材育成に注力する。現在はオープンソースソフトウェアの普及と教育のため青森でOSSに関する教育事業を企画する傍ら、神戸情報大学院大学で講師として教鞭をとる。「ソフトウェア科学の基礎を勉強してオールラウンド・プレーヤーを目指せ」が技術者育成についての口癖。


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第3回:PHPの、その先にあるもの
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