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PHPは進化する〜ビジネスはどう変わる?〜
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PHPとビジネスの連携という面では、まず基幹系への適用が考えられます。
ITシステムのすべてがWebシステムというわけではありません。企業活動の根幹を成す「基幹システム」があります。もちろん、ネットショッピングのWebサイトを運営している場合、Webシステムが基幹システムと呼べる場合もあるかもしれません。しかし基幹システムは、会計システムや売上管理システムなど、Webとは直接関係のない社内システムを想像するほうが合致すると思います。
「PHPは基幹系には向かない」と考える方々は数多くいます。実際、これらの基幹系にPHPが採用された例を、筆者はまだ多くは知りません。
PHPはWebシステム構築のために設計されたということを「第2回:PHPによるシステム開発でコスト削減は実現できるのか」で説明しました。PHPはWebシステム開発ではその特長を発揮する一方で、「お手軽」ゆえに「堅牢でない」というイメージを生み出しているのかもしれません。
そのため、基幹といわれるシステムの再構築には「PHPよりもJava」という考えが根強くあります。
しかし、筆者はこのことをさほど問題視していません。イメージが先行することは確かにあると思いますが、先ほど述べたZend Engineなどによる性能/機能の進化と、次に述べる開発手法と技法の発展で、十分カバーできることだろうと考えるからです。すなわちまだPHPの能力を使いきれていないということかもしれません。結局は、時間の問題だと考えています。
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業界の動き
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PHPの心臓部がZend Engineであることは、先ほど述べた通りです。そのZend社は2005年から相次いで、IBM社やOracle社、Microsoft社と提携をはじめています。これは大手ベンダーにとってPHPが無視できない存在になっていることのあらわれといってよいと思います。
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豊富なPHPアプリ
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「第1回:今だからこその『PHPのすすめ』」で書いたことの繰り返しになりますが、とにかくPHPをベースとしたアプリケーションは豊富に存在します。
世界最大のオープンソースソフトウェア開発のWebサイトである「SourceForge(http://sourceforge.net/)」には、2007年6月8日現在でPHPのプロジェクトが10,368件あります。
プログラムを1から作るのではなくすでにあるオープンソースソフトウェアを活用するのがこれからの開発スタイルになると第1回で書きましたが、これだけ豊富なアプリケーションを利用しない手はないでしょう。
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明るい未来と消えるプログラミング
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先ほど述べた通り、最近では画面のデザインとそこに表示する内容(データ)を作るためのアプリケーションロジックを分離し、別々に開発を行うことが主流となっています。このような「MVC(Model・View・Control)」モデルが技術者の間に定着し、PHPでは各種フレームワークとテンプレートエンジンが実装され、次々と新しいものが発表されています。
これによってPHP開発は、生産性と品質が飛躍的に高まったといえます。では、この方法はどこまで進化するのでしょうか。
筆者は最終形では恐らくプログラミング自体が不要になると考えています。
多くの機能がライブラリ関数で実現できるようになった、という点については第1回で紹介しました。かつてはプログラムをゴリゴリと書いていたものが、今は関数を呼びだすだけで済むようになりました。これを突き詰めると、プログラムのような複雑な「定義」は不要になり、機能の1つ1つが簡単な記号の並びだけで表現できるようになるでしょう。
このような考え方は何も今にはじまったわけではなく、オブジェクト指向が叫ばれはじめた1980年代からありました。いわゆる「部品化」です。プログラムは既存の部品(=オブジェクト)を上手につなぎ合わせるだけでよい、という考え方です。
しかし、現実には上手くいきませんでした。その後Javaの登場でオブジェクト指向が一気に加速したようにみえましたが、筆者としては大きな成果は生み出されなかったように感じています。
そこに登場したのがPHPです。
これまで叫ばれ続けてきたにも関わらず、なかなか実現できなかった「部品化」の切り札が、JavaではなくPHPなのだ、というのが筆者の最近の期待です。上で述べた「アプリケーション」とは異なる方向かもしれませんが、オブジェクト指向についての長年の夢をPHPが解決してくれるように感じています。
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最後は人
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第2回のまとめとして「PHPだけが書ける技術者」が増えることへの危惧を述べました。この不安は今も変わりませんが、その一方で「すぐに現場に立てる」ことをさらなる飛躍の足がかりにする技術者もいるでしょう。
そういった技術者に、次のステップへ進むためのヒントとチャンスを与えることが、筆者のこれからの使命なのだと思っています。
PHPが旬の今、まずはPHPをはじめてみましょう。そして、もっと、ずっと先まで行ってみませんか?
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著者プロフィール
オープンソース・ジャパン株式会社 須藤 克彦
青森オフィス 代表
1980年立命館大学理工学部を卒業後、独立系ソフトハウスに入社。CやFORTRANコンパイラなどの言語処理系の設計・開発に約10年間従事。その後ユーザ系企業でUNIXによるクラサバの設計・開発を主導。同時に企業の内外で人材育成に注力する。現在はオープンソースソフトウェアの普及と教育のため青森でOSSに関する教育事業を企画する傍ら、神戸情報大学院大学で講師として教鞭をとる。「ソフトウェア科学の基礎を勉強してオールラウンド・プレーヤーを目指せ」が技術者育成についての口癖。
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