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第2回:OpenLDAPでLDAP Syncレプリケーション!

著者:セシオス  関口 薫   2007/6/25
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レプリケーション

   LDAP Syncレプリケーションは、現在OpenLDAPの標準として開発が進められているレプリケーション方式です。LDAP SyncレプリケーションにはrefreshOnlyとrefreshAndPersistの2つのモードがありますが、今回はrefreshAndPersistモードの設定を行います(図1)。
LDAP Syncレプリケーションシステム構成
図1:LDAP Syncレプリケーションシステム構成

   LDAP Syncレプリケーションの詳細については、「第1回:認証の一元化を進めるOpenLDAPの今」の解説を参照してください。

   マスタサーバ、スレーブサーバの「slapd.conf」に、前項で解説したBDBバックエンドの設定を行います。ここではindexにentryCSN、entryUUIDを設定しています。LDAP Syncレプリケーションでは内部処理として、entryCSNおよびentryUUIDの検索を頻繁に行うため、インデックスを作成することで、レプリケーションの性能向上をはかっています。

   さらに、マスタサーバ、スレーブサーバのslapd.confに次の設定をそれぞれ追加します。

マスタサーバ
overlay syncprov

スレーブサーバ
syncrepl rid=123
    provider=ldap://<マスタサーバのホスト名>
    type=refreshAndPersist
    retry=”5 10 60 +”
    searchbase=”dc=example,dc=com”
    bindmethod=simple
    binddn=”cn=Manager,dc=example,dc=com”
    credentials=secret

   マスタサーバでは、syncprovオーバーレイを有効にしています。オーバーレイとは、OpenLDAPの機能拡張モジュールのことで、syncprovはLDAP Syncレプリケーションにおけるマスタサーバの機能を追加します。

   スレーブサーバでは、searchbaseにsuffixで指定した「dc=example,dc=com」を設定しています。レプリケーションの対象は、searchbaseで設定したDN(Distinguished Name)配下のエントリになるので、「dc=example,dc=com」を設定することで、LDAPサーバの全エントリをレプリケーションするようにしています。

   設定の詳細については、次の表3の通りです。

ディレクティブ デフォルト値 説明
overlay - 指定したオーバーレイを有効にします。
syncrepl - LDAP Syncレプリケーションのスレーブサーバの設定項目です。
rid - syncreplディレクティブは複数設定することが可能なため、各設定を識別するIDとして3桁以内の正の整数を指定します。
provider - マスタサーバのURIを指定します。
type - レプリケーションのモードとして、refreshOnlyまたはrefreshAndPersistを指定します。
retry - レプリケーション中にエラーが発生した場合にマスタサーバに再接続する間隔と回数を指定します。”5 10 60 +”の場合、5秒間隔で10回再接続を試みた後、60秒間隔で無制限に再接続を試みます。”+”は無制限の回数を表します。
searchbase - 指定したDNの配下のエントリをレプリケーションします。
bindmethod - マスタサーバへbindする際の認証方法を指定します。simpleはパスワード認証を行います。
binddn - マスタサーバへbindするDNを指定します。
credentials - bindする際のパスワードを指定します。

表3:レプリケーション設定の詳細

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株式会社セシオス 関口 薫
著者プロフィール
株式会社セシオス  関口 薫
2000年早稲田大学理工学部を卒業後、大手システムインテグレータに入社。オープンソースソフトウェアを活用したシステム開発に従事し、その中で2002年頃OpenLDAPと出会う。現在は、OpenLDAPなどのオープンソースソフトウェアを組み合わせた認証ソリューションの開発・提供に従事している。


INDEX
第2回:OpenLDAPでLDAP Syncレプリケーション!
  CentOS 5+OpenLDAPでLDAPサーバの冗長化環境を構築
  OpenLDAP、BDBバックエンドの設定
レプリケーション
  設定と正常動作の確認