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| 「データ」「情報」「ナレッジ」〜IT導入で何を変えたいのか? | ||||||||||
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先ほど述べた「ビジョン」とも通じるところであるが、IT導入時に「データ」「情報」「ナレッジ」のそれぞれについて、何をどのようにマネジメントしていきたいのかが明確でないケースが多いと感じている。 一般的には、「データ」とは情報を構成する最小単位(日付、氏名など)であり、それら個々では重要な意味を持ち得ない。「情報(インフォメーション)」とは、データの集まりにより、何らかの意味を読み手に伝えるものだ。例えば、Aさんが、X月X日にB社への提案案件を受注などである。 最後の「ナレッジ」は、ITだけでは伝わりにくい、非データ系の情報だ。例えば、上記のAさんの受注の背景にあった組織内での協力・信頼関係、顧客との折衝上の工夫などに当たる。 実際、多くの企業でのIT導入の視点は、「データ」の管理、もしくは「情報」共有の域をでないと感じる。そのIT導入をきっかけに、「ナレッジ(暗黙知的な組織内の知恵)」にまでもインパクトを与えようという高い志のある企業はまだ少ないのではないだろうか。 ![]() 図2:「データ」「情報」「ナレッジ」の関係 |
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| ITを超えた「ナレッジ(組織としての知恵)」こそが、企業の競争優位を決める | ||||||||||
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IT関連のリサーチで有名なガートナー社の調査によると、巨額のIT投資により劇的な成果をあげる企業は全体の2割にすぎないという。多くの企業が数千万〜数十億円の投資をしても、せいぜい同額か少し上回ったリターンしか生み出せていない(最悪の場合、よりパフォーマンスが下がってしまう)。 この違いは、この連載のテーマでもある「ITとリーダーシップの融合」ができているかどうか、だと筆者は思っている。端的に言えば、上記のナレッジレベルの変革までをもイメージしてIT導入プロジェクトを推進するか、データ、情報というレベルに留まった構想しか描けないか、の違いである。 例をあげると、筆者が携わったある企業のシステム導入事例では「このシステムを導入したらこういう風に皆の仕事のやり方が変わるよ」「このように社内のコミュニケーションが円滑になるよ」という趣旨の話を、何度も何度もされる取締役の方がいる。 当初、現場の社員には「現実感がないね」と失笑に近い反応をされる方もいたが、何度も話を聞く中で、徐々に「機能」を超えたイメージが社員に共有されはじめている。「このシステムを導入する目的は、こういう意味があるから」という前提が社員に共有されてきており、おそらくシステム導入後も実業務のメリットやワークスタイルの変革という目標がブレない限り、ITが大きな収益を生むと思う。 これは、別にITに限ったことではない。新しい人事制度、M&Aなどの場合も同様だと思う。そのツールや手法を導入することで、組織にどのような「ナレッジ」が生まれ、仕事の仕方、ビジネスモデルを変えていけるか。そこまで考えての投資であれば、圧倒的に投資対効果は高いはずだ。 なぜなら、「ナレッジ」という目にみえない組織の資産こそが、他社がもっとも真似しにくく、その企業の圧倒的優位性を築くものであるからだ。トヨタの社内の知恵は外からなかなか真似できないし、同様にアップルやスターバックスの社員が共有しているワークスタイルや知恵は同業他社が真似できるものではないのだ。そして、この情報化時代に、ITが競争優位の高い「ナレッジ」を生むお手伝いをできる機会がますます増えていると筆者は感じている。 |
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