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| 回避策その2「上司を揺さぶる」 | ||||||||||
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プロジェクトマネージャーにとって、交渉相手は顧客ばかりではありません。プロジェクトを成功に導くためには、上司との交渉も必要です。 人材が足りないのであれば、補充する努力からはじめましょう。つまり上司への支援の依頼です。「もう何度も頼んだよ」「そんな依頼は無理に決まっている」と決めつけてしまう前に、まずはここに最大限の努力を注ぐことです。 依頼の結果がどうなるかはわかりませんが、このような努力さえできないようならば、そもそもスキル不足のチームを率いてプロジェクトを成功に導くなどということはできません。 支援の依頼の基本は「どういう理由で、どのくらいのスキルの人を、いつからいつまで必要なのか」を明確にすることです。しかしそれだけでは不十分です。上司はあなたが考えているほど、そのプロジェクトに重要性を感じていないかもしれません。何かを依頼するのであれば、上司にとっての成果を考えなければなりません。 上司にとって、あなたを支援することにどのようなメリットがあるのでしょうか。そのメリットは支援するに値するほど大きなものなのでしょうか。そのメリットは支援によって生ずる新たなリスクを十分にカバーできるものでしょうか。「上司なのだから支援するのは当然だ」という考えだけでは、支援を引き出すのは難しいでしょう。 また、上司にとってのメリットだけでなくデメリットの方に着目するもの有効です。往々にして人は「得る」ことよりも「失う」ことに敏感になることが多いからです。「こういう得をしますよ」という言葉に無関心な人でも、「これを失うかもしれませんよ」という言葉には反応したりするものです。支援した場合のリスク、および支援しなかった場合のリスクについて、上司の立場で考えてみましょう。うまく支援を獲得するための説得のヒントがみつかるかもしれません。 例えば「支援をしてプロジェクトがうまくいった場合に追加の案件を取れる可能性が高まる」という期待感は、よほどその情報の確度が高いものでない限り、上司の財布のひもを開かせるのは難しいかもしれません。一方で「このまま支援をせずにプロジェクトが失敗した場合、既存の顧客を失う可能性がある」という危機感や、「支援をせずに、結果として検収をもらえない状況になったら、それこそ今期の売り上げ自体がショートする」という危機感は、情報の確度によらずに上司を動かしやすいものです。 気をつけなければならないのは本音と建前です。単に建前上の正当性に沿っただけの提案では受け入れられないかもしれません。支援が上司の個人的なメリットにつながるものでなければ、上司の関心を本当に引くことはできません。しかし、本音に沿った提案でも「あからさま」あるいは「目立つ」提案が受け入れられる見込みは(当然のことながら)もっと少なくなります。 昇進したばかりの上司であれば、失敗はどうしても避けたいところでしょう。もうすぐ昇進が噂される上司も同様です。会社として「リスクを取って勝負に出るべきとき」であったとしても、このような上司に「リスクを取る」ような支援をお願いするのは難しいでしょう。 「今年の会社の方針です」と正論を言ってもダメです。表向きはリスキーに見えても実は安全が確保されているような提案でなければ、首を縦には振ってくれないでしょう。もちろんこれには逆のパターンもあります。上司の個人的なつながりが深いプロジェクトでは、「いつも以上に」支援を獲得できるかもしれません。ただしこうした好条件でも、社内に「あからさま」に映ってしまうようでは、支援は難しくなるのは当然です。 ![]() 図3:「上司にとってのプロジェクト」を考える 支援を得るためのいくつかの策を紹介してきましたが、ここでいいたいことはただ1つ、面倒くさがらずに支援を獲得するための努力をきっちりと行っていくということです。 難しい問題を解決するためにはエネルギーが必要なのです。ただし、上司から提示されるメンバーの受け入れを拒んでおいて「人がいない」と騒いでみても説得力はありません。受け入れを拒む場合には、必要なスキルを明確にした上で、合致していないということを誰が考えてももっともだと思ってもらうようにしなければなりません。 |
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さて次回の最終回では、「スキルを持つ個人」の問題について軽減策、転嫁策、受容策の観点から考えていきたいと思います。 |
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