TOPプロジェクト管理> 「開発、単体検証」フェーズでの注意点
実践プロジェクト管理
実践プロジェクト管理

第3回:開発〜保守契約フェーズで重要なポイント

著者:システムインテグレータ  安治 理之   2007/8/27
前のページ  1  2  3  次のページ
「開発、単体検証」フェーズでの注意点

   このフェーズでの注意点としては以下の2つがあげられます。
  • 開発メンバーと情報をシェアし、共有する仕組みを検討し、実行しましょう
  • 一括納品だけでなく、部分機能検討、場合によっては部分納品を繰り返す開発手法もあることも検討しておきましょう

表3:「開発、単体検証」フェーズでの注意点

   筆者は表3について、特にプロジェクト開始前や各機能開発前に「メンバーが自分の担当機能についてより深く考察できる」ことを目的とし、システム開発プロジェクトの背景情報をはじめとしたプロジェクト開発メンバーに伝えることが可能な内容については、できる限り情報提供しておくことが重要だと考えています。

   例えば、「プロジェクトの開発に至った経緯」や「このプロジェクトの目的」「この機能は何のために作成するか」「この機能を作成した場合に影響する(可能性がある)他の機能」といった情報などがこれにあたります。

   筆者としては、開発フェーズにプロジェクトリーダーが行うべき作業の中で、この注意点を最も重視すべきだと考えています。その理由は、SEの重要な役割として「課題発見、解決策の提示」があるためです。

   設計時に十分に課題と解決策を考慮していたつもりでも、実際の開発時には、設計した人間と開発する人間が違うことがほとんどです。このため「開発内容に誤解が生じる」というリスクを完全に防ぐことは、非常に困難といえるでしょう。また、一部の業務を請負契約形式で協力会社に委託する場合など、直接に指示・依頼出来る対象が制限される場合もあります。

   これらの点から、「自分だけが課題を把握し、解決策を保持している状態」もしくは、「かなり細かく解決策を指示したが、なぜその解決策となったかが当該開発メンバーが理解していない状態」が生まれると、開発の中盤や終盤になって、大きな問題が表出するリスクが高まってしまいます。

   このリスクをできるだけ低くするためには、事前に開発メンバーがプロジェクトの背景や課題など、開発に重要な情報を得ていることが一般的に有効だと考えられています。

   開発メンバーが情報を持っていることにより、メンバーが設計書を参照したり機能を作成している時点で、プロジェクトの目的や課題の解決と矛盾する点に気づき、アラートやよりよい提案がプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーまで上がってくる可能性が高まります。

   これらはすべて、開発物の操作性向上や開発物の品質向上、顧客満足度の向上などに直結する内容です。プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーだけで情報を抱え込もうとせず、開発メンバーと情報共有を進め、よりよいシステムを提供しようとする体制を積極的に構築する必要性があります。


「開発、単体検証」フェーズでの管理手法

   続いて「一括納品だけでなく、部分機能検討、場合によっては部分納品を繰り返す開発手法もあることも検討しておきましょう」という点について説明します。

   この点を考える上では、以下のような手法を知り、実際に用いることが有用となります。

  • DOA
  • モックアップ提示
  • アジャイル開発
  • バグトラッキングシステム
  • PDCAサイクル(注5)
  • 進捗報告ミーティングの工夫(立ってミーティングなど)

表4:「開発、単体検証」フェーズでの管理手法

※注5: PDCAサイクル
Plan(計画) → Do(実施) → Check(評価) → Act(改善)サイクルの頭文字を取った管理手法

前のページ  1  2  3  次のページ


株式会社システムインテグレータ 安治 理之
著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  安治 理之
物流、顧客管理、生産管理、販売予測、etc対応などの個別システム案件開発から、EC(電子商取引)、LMS(学習管理)、ERPなどのパッケージカスタマイズ開発まで、お客様ごとに異なる案件に対応し続けて幾年月。よりよいオーバーホール手法を求めつつ、現在もフルスクラッチ型案件開発を中心に、稼働を続けるシステムエンジニア。


INDEX
第3回:開発〜保守契約フェーズで重要なポイント
  開発から保守契約フェーズまでを解説
「開発、単体検証」フェーズでの注意点
  「開発、単体検証」フェーズでの便利ツール