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基盤技術で占うSaaSの未来
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第2回:MIJSの考えるSaaSポータルサイトとは

著者:システムインテグレータ  梅田 弘之   2007/11/8
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SaaSのメリット

   「SaaSは普及するか」

   その問いに答えるにはユーザとベンダー双方にとってSaaSにどのようなメリットがあるかを押さえておく必要があります。表3は、ユーザとアプリケーションベンダーの両方の側から見たSaaSの主な利点を挙げたものです。
ユーザ側
  • ハードウェアの調達、設置、増設、などの作業負荷から開放される
  • 環境の設定、アプリケーションのインストールやバージョンアップ、パッチ適用など専門知識を要する作業が不要になる
  • システムやネットワークの監視、保守作業も軽減できる
  • 堅牢なセキュリティやログ監視、内部統制の仕組みが提供されている
  • 利用者やリソースの増減による設備増設などの対応も容易になる
  • 試用という形で確認してから導入できる。
  • すぐに利用開始でき、すぐに利用終了できる。
  • 複数のアプリケーションを利用した場合に、シングルサインオンやデータ連携などがあらかじめ実現できている
  • 利用という形態なので、所有に比べて割安である
ベンダー側
  • 公開により幅広いユーザに認知され、使ってもらえる機会が増える
  • 料金を低価格に抑えることが可能なので、中小企業に対しても使ってもらえる
  • 初期導入、環境構築に関する営業・サポートが不要となり、手離れが良い
  • ユーザの成長に応じて、利用から所有へと切り替わるケースも期待できる
  • フロービジネスでなくストックビジネスなので、経営的に安定する

表3:ユーザとベンダー、双方から見たSaaSのメリット


SaaSは成功するか

   さて、以上のようなメリットを踏まえて「SaaSは成功するか」を考えるためには、その前提として「ASPが成功しなかった理由」についても考える必要があります。

   ASPが成功しなかった理由としては「情報を外に預けるのが心配」「クライアント/サーバ型システムのアプリケーションが多く、ネットで利用しにくい」「ブロードバンドの普及が不十分」などがあげられています。しかし筆者は、ユーザとベンダーの「心理的な要因」こそが大きかったと考えています。

   ユーザ側の要因は、まだネット経由でアプリケーションを利用するのに慣れていなかったことです。EC(電子商取引)のビジネスでも、そのメリットは誰もが認めていたにしろ、本格的に普及するには7、8年かかりました。

   同じように、ASP的なアプリケーションの利用形態にユーザが慣れるのに7、8年必要だとすれば、ASP登場からちょうどSaaSの登場時期までが7、8年経過していることから、本格的な普及に向けて動き出すと考えられます。

   一方ベンダー側の要因は「本気でセールスしてなかったこと」に尽きるでしょう。これまで「所有」ビジネスに取り組んできた営業担当者や経営者にとって、ASPビジネスは「おまけ」的なもので、あくまでもパッケージ販売を主として取り組んでいました。

   そんな「ASPもあります」のようなおよび腰なビジネスではうまく行くはずはありません。携帯電話のユーザ獲得競争のように、本気で「利用」ビジネスへの販促活動を行わなければSaaSもASPの二の舞になるでしょう。


最後に

   2007年11月29日(木)には、「第2回MIJSカンファレンス(Japan)」が開催されます。タイトルに「Japan」と付いているのは、いつか海外でもカンファレンスをやろうという我々の意気込みです。

   この中で、MIJSによる標準規格を公表し、その規格を利用したデータ連携のデモンストレーションも行います。さらに、これらの連携を中心に据えたMIJSの考えるSaaSポータルサイトも発表するので、興味がある方はぜひ参加してください。

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システムインテグレータ  梅田 弘之
著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経て1995年にシステムインテグレータを設立。常駐・派遣主体の労働集約的な日本のソフトウェア業の中で、創造性にこだわってパッケージビジネスを行っている。「アプリケーションは日本の方が上」と信じ、日本のIT産業が国際競争力を付けるためにやれることはやろうと決意している。


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