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【バグ管理の作法】エンピリカルソフトウェア工学に触れる

【バグ管理の作法】
エンピリカルソフトウェア工学に触れる

第1回:エンピリカルソフトウェア工学を学ぶ前に

著者:シンクイット編集部

公開日:2007/12/5(水)

EASEプロジェクトとは

EASEプロジェクトは、平成15年度に奈良先端科学技術大学院大学と大阪大学によって文部科学省のリーディングプロジェクト「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」の一環として発足された。EASEとは、Empirical Approach to Software Engineering(ソフトウェア工学へのエンピリカルアプローチ)の略である。

その設立の背景として、冒頭でも述べたソフトウェア開発のさまざまな課題がある。日本におけるソフトウェア技術は、高いレベルを保っているが、課題は山積みであった。それらの課題を研究者と開発現場がそれぞれに解決しようとするのではなく、双方に協力することで、解決しようという狙いがある。

その実現方法としてエンピリカルソフトウェア工学を適用し、ソフトウェア開発における実証的手法(エンピリカルアプローチ)を実現することが、EASEプロジェクトの目的となる。

その具体的な目標として、

  • エンピリカル環境の構築
  • エンピリカル環境の配布と実プロジェクトへの適用
  • エンピリカルデータやその分析による知見の蓄積
  • 適用先の組織の生産性、品質の向上

EASEプロジェクトの目的 (出典:EASEプロジェクトWebサイト)

がある。エンピリカル環境とは、エンピリカルソフトウェア工学を適用した実環境である。

EASEプロジェクトは平成15年度からの5ヶ年計画のプロジェクトで、産業界と大学の双方からの参加によって進められている。産業界と大学の双方をエンピリカルSEラボが仲介する形でプロジェクトは成り立っている。

まず、企業から必要となるプロジェクトのデータを収集する。次に得られたデータを大学と連携して分析、検証していく。そこで培われた有効なモデルやベストプラクティスを、ノウハウや知見としてエンピリカルSEラボが蓄積する。これらのノウハウや知見を企業にフィードバックするのである。

例えば、2006年度以降だけでも、企業などとの共同研究契約・受託研究契約・NDAの締結件数は計33件、EASEプロジェクトが開発した手法やツールを導入、あるいはその検討を行っている企業や組織の数は120を超えている。また、EASEプロジェクトが主催する「エンピリカルソフトウェア工学研究会」(東京田町キャンパスイノベーションセンターで開催。次回は2007年12月18日開催予定)には、毎回50社の企業から70名以上が参加している。

本プロジェクトではさまざまな成果物が生まれている。例えば、定量データの分析手法として「単一プロジェクト分析(インプロセス分析)」「プロダクトライン分析」「リポジトリ分析(メガソフトウェアエンジニアリング)」がある。

また、ソフトウェアの開発データの自動収集・分析環境であるEPM(Empirical Project Monitor)というツールを開発し、無償で提供している。EPMは開発支援ツールの履歴を収集・分析することが可能で、実際の現場に導入する場合にも極力負荷がかからないように設計されている。また、さまざまな論文も発表しており、2007年12月現在で、151個の論文がPDFで公開されている。

では、エンピリカルソフトウェア工学は開発現場にどのような効果をもたらすのであろうか? 次のページ



INDEX
第1回:エンピリカルソフトウェア工学を学ぶ前に
  エンピリカルソフトウェア工学とは
EASEプロジェクトとは
  エンピリカルソフトウェア工学がもたらすメリットとは