【バグ管理の作法】
エンピリカルソフトウェア工学に触れる
第1回:エンピリカルソフトウェア工学を学ぶ前に
著者:シンクイット編集部
公開日:2007/12/5(水)
エンピリカルソフトウェア工学がもたらすメリットとは
EASEプロジェクトで蓄積された、ノウハウや知見が現場にフィードバックされることで、さまざまな効果が生まれる。
例えば、既存の開発現場において、プロジェクトのモニタリングに効果を発揮する。さまざまなデータを収集するため、プロジェクトの異常検出や過去のプロジェクトとの比較、またプロジェクトの今後の予測にも活用できるのである。これらの情報はリアルタイムで収集するため、プロジェクト全体を把握するのが容易となる。
また、作業履歴を残すことで、それらをノウハウや知見として蓄積することができ、属人性の高い作業を減らすことができる。また、蓄積したデータから、再利用できるものや新たな知見を発掘することもできよう。
このようなメリットが、ひいてはソフトウェア開発の生産性と信頼性の向上につながるのである。
エンピリカルソフトウェア工学に触れてみよう
さてエンピリカルソフトウェア工学を学ぶ前に知っておきたい基本的な部分について押さえることができたのはないだろうか。
冒頭でも述べたように開発現場における実証データによってソフトウェア開発における生産性と信頼性を高めようとするアプローチであるエンピリカルソフトウェア工学は、現場の協力なしには実現が難しい。
今回Think ITがエンピリカルソフトウェア工学を取り上げたのは、そのような理由からである。エンピリカルソフトウェア工学は、現場にもっとも近いソフトウェア工学の1つといえるのはないだろうか。
確かにソフトウェア工学という研究分野は普段あまり意識をせず、難しい分野のように思えるかもしれない。しかし本連載を機に、ソフトウェア工学の世界に触れてみてはいかがだろうか。
次回以降では実際に、EASEプロジェクトにも参加し、エンピリカルソフトウェア工学のリーディングカレッジである奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 ソフトウェア工学講座 教授の松本 健一氏にご登場いただき、エンピリカルソフトウェア工学についてさらに深く解説していく。
第2回では、ソフトウェア開発の現状についてデータから分析し、エンピリカルソフトウェア工学について掘り下げていく。また、理論だけではなく、開発現場におけるエンピリカルアプローチの実例を紹介し、その効果をみていこう。 タイトルへ戻る