作成者のトレンドを読む
読者の皆さんは「メタゲーム」という言葉をご存じだろうか。メタゲームとはトレーディングカードゲームの大会において、勝率を上げるための手法のことである。トーナメントなどの大会においては、特定の1人だけに勝てるカードの組み合わせでは優勝が難しい。何人もの相手に勝つ必要があり、その組み合わせのパターンは膨大である。そこで、その大会のカードの組み合わせのトレンドを読み、そのトレンドに勝つカードの組み合わせを用意しておくことで、勝率をあげるのである。
ウイルスのトレンドを予測する
これは、そのままウイルス対策にも応用できる考え方ではないだろうか。インフルエンザのような自然発生的なものは、予測のつかない進化をみせることがあるため対応が難しい。しかし、コンピュータにおけるウイルスは、あくまで人が作成しているものだ。人が作成している限り、そのトレンドを読むことはある程度可能である。
作成者の立場になって考えてみれば、少しだけその傾向を読むことができる。過去の例でいえば、さまざまな記念日やイベントで流行ったウイルスがわかりやすい。年末年始であれば、まさにメールに添付された年賀状のファイルなどがその典型例だ。ある程度の予測ができていれば、事前に対策も打つことが可能だろう。夢物語かもしれないが将来的には、天気予報ならぬウイルス予報ができるかもしれない。
また、ウイルスはその種類ごとに似たような動きをする。アンチウイルスソフトウェアにひっかからなかった新種のウイルスに対しても、その予兆を知っておけばあらかじめ注意してチェックすることで対応できるだろう。
このような理由から、現在のウイルスのトレンドを知っておくことでウイルスの感染を防ぐことができるだけでなく、もし感染したとしてもその拡大を防ぐことができるといえる。
- ウイルスにはトレンドがある
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- 作成者の立場で考えることで、ある程度の予測ができる
- 現在のトレンドを知ることで、対策を打つことができる
- もし感染しても、具体的な対応ができる
ウイルスのトレンドを知る意味
そこで、本連載では現在増加しつつあり、今後も増えると予想されるウイルスについて取り上げていく。これからのトレンドを知ることで、たとえ新種のウイルスに感染したとしても、あわてずに対応できるだろう。
今、そしてこれから注意すべきウイルスとは
本連載では、トレンドマイクロの黒木 直樹氏にご登場いただき、現在被害が増えており気をつけておきたいウイルスについて解説していく。
第2回で取り上げるのは防ぐことが難しいとされる「Webからの脅威」だ。第3回では、Webからの脅威の特徴の1つである大量の亜種を活用した「シーケンシャル攻撃」について解説していく。第4回では、企業が注意すべき「ターゲット攻撃」について解説する。
第2回の公開1月15日(火)を楽しみにしていただきたい。 タイトルへ戻る