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パッケージ制御スクリプト
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SGLXはアプリケーションをクラスタノードで起動・停止する際に、パッケージ制御スクリプトを実行します。パッケージ構成ファイル、パッケージ制御ファイルは、管理者がスクラッチから作成する必要はなく、以下のコマンドで簡単にテンプレートを生成できます。
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パッケージ構成ファイルのテンプレートpkg.confを生成する方法
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# cmmakepkg -p /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.conf
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パッケージ制御スクリプトのテンプレートpkg.cntlを生成する方法
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# cmmakepkg -s /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.cntl
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SGLXではパッケージ構成ファイル、パッケージ制御スクリプトをHAクラスタ化したいアプリケーションごとに用意します。また各アプリケーションは、異なるLVMボリュームグループを利用しますので、例えばApache用とMySQL用にそれぞれパッケージ構成ファイルとパッケージ制御スクリプトを生成し、それぞれの制御スクリプトには異なるLVMボリュームグループを記述します。
これらパッケージ構成ファイル、パッケージ制御スクリプトのテンプレートからシステム要件にあった設定に変更した後、全クラスタノードにファイルをコピーし、パッケージ構成ファイルのチェックとコンパイルを行います。パッケージ構成ファイルの内容をチェックするためのコマンドとしてcmcheckconfコマンドが用意されていますので、必ずチェックを行います。
パッケージ構成ファイルのチェック
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# cmcheckconf -P /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.conf
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チェックした結果、エラーがない場合はcmapplyconfコマンドによりパッケージ情報をコンパイルします。コンパイルすると、クラスタバイナリファイルとしてSGLXに組み込まれます。
パッケージ構成ファイルのコンパイル
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# cmapplyconf -P /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.conf
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以上のように、SGLXはクラスタ構成ファイル、クラスタ制御スクリプト、Serviceguard for Linux Toolkitのモニタリングスクリプトなどにより、カスタマイズ性が非常に高く、様々なベンダーのオリジナルのアプリケーションに対してクラスタ化が可能となっている点が特徴的です。
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SGLXの管理
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クラスタの管理はServiceguard Managerと呼ばれるソフトウェアで実現します。
Serviceguard Manager用に管理ノードを1台構築し、GUIでクラスタを管理することができます。Serviceguard Mangerでは、クラスタノード、サービスの作成、起動、停止、フェイルオーバー、サービスの状況の確認などをGUI管理ツールによって管理作業を行います。またサービスの作成なども行うことが可能です。
Serviceguard ManagerはHPのWebサイトから無償でダウンロードが可能です。Serviceguard Managerのキット自体はRPMパッケージで提供されており、rpmコマンドで容易にインストールできます。

図8:Serviceguard Managerでのクラスタの状態をGUIで閲覧 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
SGLXでは、Serviceguard ManagerによるGUIによる管理方法だけでなく、コマンドラインベースのCUIによる管理も可能となっており、Serviceguard Managerに障害が発生した場合でも、管理者はクラスタノードに直接ログインして管理コマンドを発行することが可能です。管理コマンドの結果は標準出力に出ますので、クラスタの状態をテキストファイルなどに保存する運用も可能です。
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ブレードサーバとServiceguard for Linux
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SGLXの特徴の1つにブレードサーバに対応しているという点があります。
SGLXはHPのブレードサーバであるProLiant BLシリーズをサポートしており、ハードウェアの交換が容易なブレードサーバとの親和性が高く、フェイルオーバー後の障害ノードの煩雑な結線作業の手間を省きます。
またブレード専用エンクロージャにはブレードサーバ以外に、両端にネットワークスイッチが2台格納され、ブレードサーバのNICのポートのbonding構成と組み合わせることにより、SGLXの冗長LAN構成を可能にします。
図8はブレードサーバ8台でSGLXクラスタを構成した例です。各ブレードサーバは2ポートのFibre Channel用のホストバスアダプタを内蔵しており、FCスイッチへの冗長経路を確保しています。ブレードサーバの1台に障害が発生するとSGLXはサービスを他のブレードサーバにフェイルオーバーさせることが可能です。

図9:ブレードサーバをクラスタノードに持つSGLXクラスタのシステム構成例 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
ブレードサーバで実現したSGLXクラスタシステムは、ヤマト運輸の情報システムの開発、構築、運用や他企業へのサービス提供を行っているヤマトシステム開発株式会社で導入されています。ヤマトシステム開発株式会社は運輸、流通業界での長い経験と技術ノウハウを活かしECサイト運用サービスを行っています。現在ヤマトシステム開発のECサイト運用サービス「e-ネコショップ」はSGLXとブレードサーバの組み合わせで構成されており、SIM監視サーバでHAクラスタのハードウェア監視を行っています。
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SGLXとCluster Extension XP/Continuous Access XPによる災害対策システム
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クォーラムサーバは、先述のように1つのSGLXクラスタの調停役を行いますが、複数のSGLXクラスタの調停役を行うことも可能です。この機能を利用すれば、地理的に離れた場所にそれぞれSGLXクラスタを設置し、災害が発生した場合に遠隔地の安全な場所に設置されているクラスタシステムへサービスをフェイルオーバーさせる災害対策システムを構築することが可能となります。
クォーラムサーバ方式のSGLXクラスタと、StorageWorks XPディスクアレイのCluster Extension XP/Continuous Access XPソフトウェアの組み合わせで実現します。一般的に災害対策システムは大規模かつ非常に高い可用性が要求されます。
したがってサーバ自体のダウンタイムを最小限にするためにも、よりMTBF(平均故障間隔)が小さく、ハードウェアコンポーネントの耐久性、冗長性の高いハイエンドサーバで構成されます。
災害対策システムでは、一般的にハイエンドサーバで構成された複数のSGLXクラスタを構築しますが、共有ストレージのXPディスクアレイは、各サイトのSGLXクラスタにFibre Channelで接続され、Continuous Access XPにより各サイトのXPディスクアレイ間でデータをミラーします。
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著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。
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