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統合化が進むBIツール
第7回:統合化のメリットと各社の特徴
著者:
アイエイエフコンサルティング 平井 明夫
2006/4/17
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システム管理者にとってのBIツール統合化によるメリット
システム管理者にとってのメリットとして、各ベンダー共通に見られる項目には、ユーザ管理とセキュリティ管理の統合があります(表4)。いずれのベンダーもBIツールの統合にともない、ユーザ管理とセキュリティ管理が一元的に行われるため、システム管理者の負担が軽減される点を強調しています。
オラクル
データウェアハウスとミドルウェア基盤の一元的な管理を実現するOracle Enterprise Managerが提供される。
コグノス
ユーザ認証に外部の認証プロバイダを利用し、複数のものを自由に組み合せることができる。ログやトレースについてもシステム全体を通じた一貫性と統合性が提供されている。
ハイペリオン
ユーザ管理・セキュリティ管理の統合化を通じて、従来各製品ごとに行っていた業務を一元化できるため、機械的作業が少なくなかったセキュリティ関係の作業負荷を低減できる。
ビジネス
オブジェクツ
シングルポイントアドミニストレーションで、BIシステムの管理・運用コストを大幅に削減することができる。
マイクロソフト
データ、インターフェース、加工された情報がそれぞれのレベルで高度なセキュリティとトレーサビリティが確保されている。
表4:各社のユーザ管理・セキュリティ管理の統合
また開発者にとってのメリットに分類したメタデータ統合に関連して、データの変更管理とその影響分析をシステム管理者のメリットとしてあげているベンダーやシステム監査の立場から、一般の文書ファイルと同様にBIレポートに対するアクセスの制限や履歴の管理が可能であることに言及しているベンダーが多く見られます。
これらは、個人情報保護法や日本版SOX法への対応という、現時点で大きく注目されているIT課題にあわせて、各ベンダーが強調している点になっています。
各ベンダーがシステム管理者のメリットとして、管理業務の軽減、高度化の観点から訴求する中で、コグノスはシステムリソースの軽減をもっとも明確に強調しています。
他のベンダーが自社の得意とするデータベース、ETLツール、オフィス・ツール、アプリケーションといった関連製品やモジュールを組み合わせた統合によるメリットを差別化のポイントとしているのに対して、
標準的なBIツールの範疇での統合化に集中している
ように思われます。
そのため、コグノスは他社があまり言及しなかった、システムリソースの軽減やサービス指向アーキテクチャの採用による、BI以外の外部サービスの活用を統合化のメリットとしています。
例えばエンドユーザのメリットの観点から、各社があげている統一されたユーザインターフェースに関しても、コグノスはピュアなWeb環境で提供している点を強調し、クライアントへのアドオンやプラグインを排除することで、エンドユーザ側のシステムリソースや運用負担が軽減されるといったシステム管理者のメリットにまで言及しています。
またユーザ認証については、外部の認証プロバイダを利用することを前提とするかわりに、主要なプロバイダとの接続や組み合わせを保障するというアプローチをとっています。
従ってコグノスは、伝統的なBIツールの範疇での最適化と高い完成度を求めるユーザ企業を主要なターゲットとして、統合化を行っていると考えられます。
統合BIツール選択のポイント
ここまでの解説で、各ベンダーとも統合化の主要なメリットについては、共通の内容を持っているものの、各ベンダーのビジネスのモデルに応じて、それぞれが異なるセグメントのユーザ企業を対象として統合化を進めていることが理解していただけたことと思います。
従って、ユーザ企業が統合BIツールを比較検討する際には、まず、自社のBI標準化における前提条件を明確にすることが重要になってきます。
最初に行うべきは、BI標準化の範囲の明確化です。データウェアハウスまで含めるのか、すべてのユーザ層や部門を標準化の対象とするのかといったことは、企業の規模やIT投資に対する考え方によって当然変わってくるべきものです。
次の段階では、エンドユーザ/開発者/システム管理者それぞれの観点からどのような前提条件が必要なのかを決めていく必要があります。
エンドユーザについては、ユーザのITリテラシーやクライアントPCのインフラの状況、業務プロセスの特徴などが判断の基準となります。
開発者については、社内リソースとアウトソーシングのどちらを中心とするのか、社内リソースの場合は開発部門のスキルや構築方法論はどうなっているのかといった項目が判断の基準となります。
システム管理者については、管理部門の要員の規模やスキル、BIツールに対してどこまで可用性を求めるのかなどがポイントになります。
このような段階を経て、はじめて重要視すべき機能のリストアップが可能となり、自社の状況にあった正しい統合BIツールの選択が可能になると考えます。
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著者プロフィール
株式会社アイエイエフコンサルティング 平井 明夫
日本DEC(現HP)、コグノス、日本オラクルを経て現職。一貫してソフトウエア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特に、データウエアハウス、BI、OLAPを得意分野とする。現職についてから、BIスペシャリストの人口が増えない現状に発奮し、BI技術の啓蒙のため、雑誌・Web媒体の記事執筆に積極的に取り組んでいる
INDEX
第7回:統合化のメリットと各社の特徴
エンドユーザにとってのBIツール統合化によるメリット
開発者にとってのBIツール統合化によるメリット
システム管理者にとってのBIツール統合化によるメリット