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徹底比較!! エンタープライズサーバOS
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第2回:エンタープライズサーバOSの機能を見る(1) SUSE LINUX編
著者:大神企画 富樫 純一 2004/12/27
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カーネル2.6に留まらない先進的な機能
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SUSE LINUXに搭載されている機能は、カーネル2.6に留まるものではない。カーネル2.6では採用が見送られたものの、IBMとの共同により開発されたカーネルリソース管理システム「CKRM(Class-based Kernel Resource Management)」も搭載されている。これは、カーネルリソースを動的に割り当て、1つのプロセスがメモリ、CPU、ネットワークなどのリソースを占有することを防止するものだ。
対応するプラットフォームも幅広い。Pentium、Xeon、およびEM64Tを含むx86はもとより、Opteron、Athlon64などAMDのx86互換プロセッサ、インテルのItaniumファミリー、IBM Powerなど。IBM eServer zSeriesとS/390メインフレーム上でも稼働する。そして、SUSE LINUXの大きな特長のひとつに挙げられるのが、こうした幅広い対応プラットフォームに対し、単一のソースコードからすべてのプラットフォーム用のバイナリをビルドできるシングルソースコードベースの開発基盤「AutoBuild」アーキテクチャである。AutoBuildは、セキュリティホールに対応するホットフィックスのような更新スピードが要求される場合も効率的に対応することが可能になるなど、マルチプラットフォーム環境における再利用性を実現しているのだ。
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統合管理ツールとアプリケーションサポート
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SUSE LINUXが他のLinuxディストリビューションと際立って異なるのが、統合システム管理ツール「YaST」が搭載されている点である。これは、すべての設定・管理ツールが「YaSTコントロールセンター」という画面にまとめられているもの。OSのインストール、ハードウェアやネットワークの設定、メールやファイルなどソフトウェアの設定、ソフトウェアアップデートやセキュリティパッチの適用、さらにはクラスタリングの構成に至るまで、ありとあらゆる運用管理が容易に操作できるのだ。もちろん、他のディストリビューションにも管理ツールは提供されているが、設定対象によって管理ツールを使い分けなければいけないことがあり、YaSTの完成度には足元にも及ばない。
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総合システム管理ツール「YaST」
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一方、アプリケーションのサポート面でも見逃せない機能が豊富に搭載されている。たとえば、1台のサーバ上で複数の仮想Linuxが実行可能な「UML(User Mode Linux)」を利用することによって、デバッグやテスト環境を構築することができる。UMLのインストールや、メモリ、ハードディスクの割り当てなどは、YaSTから簡単に行えるようになっている。
さらに、「Apache」「Tomcat」「JBoss」などのWebサーバ/アプリケーションサーバ、「MySQL」「PostgreSQL」などのデータベース、「OpenLDAP」などの認証サーバなどを同梱し、オープンソースソフトウェアだけでエンタープライズサーバ環境を構築することが可能。また、Windowsクライアントに対してファイルサーバ、プリントサーバ環境を提供する「Samba 3.0」も搭載されている。
SUSE LINUXは、セキュリティ面でも配慮されている。ISO標準のコモンクライテリアで定義されているセキュリティ基準「EAL3+」を取得した最初の製品であり、より上位の「EAL4+」を取得すべく申請中だという。セキュリティに関しては、root権限を排除できるSELinux(Security-Enhanced Linux)もサポートしている。
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著者プロフィール
有限会社大神企画 富樫 純一
代表取締役。週刊COMPUTERWORLD(IDG)編集記者を経て、月刊WINDOWS WORLDの創刊に携わる。1996年に編集長。1998年に月刊PC WORLD創刊。1999年、編集プロダクションを設立して独立。現在、幅広い執筆活動を展開。また、NHK BS「何でも解決!パソコンマガジン」にレギュラー出演するなど、テレビ・講演活動にも活躍。
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