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バックアップ・ソリューションの選択基準
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第4回:OSSでのバックアップ手法(前編)

著者:バックボーン・ソフトウエア  青木 浩朗   2005/3/14
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tarコマンド

   tarコマンドは、ファイルを一括でアーカイブするアーカイバとして、Windowsで言うところのZIPやLHAのように、皆さんも一般的に使用していると思います。このコマンドは、古くからファイルやディレクトリなどをテープ装置へバックアップしたり、バックアップファイルという形で保存する用途に使用されています。

   主な使用方法は以下のコマンドに表3のオプションを付けて実行しますが、tarコマンドには豊富なオプションがあるため、より細かい説明についてはmanページを参照してください。

tar オプション ファイル
c 新しいアーカイブの作成
t アーカイブ内のリスト
x アーカイブからのファイルの取り出し
f ファイルまたはデバイスファイルを指定
v 処理の詳細、実際にはファイルリストを表示
z gzipを使用し圧縮
j bzip2を使用し圧縮

表3:バックアップに使用する主なオプション



tarコマンドによるバックアップの手順

   テープ装置に「/home」以下をバックアップする場合には、以下のコマンドを実行します。

tar cvf /dev/st0 /home

   「/backup」ディレクトリ以下にgzipによる圧縮付で「/home」以下をバックアップファイルとして保存する場合には、以下のコマンドを実行します。

tar cvzf /backup/backup200503.tgz /home

   ここで重要なことは、テープ装置を指定する場合には、gzipやbzip2を使用した圧縮指定を行わないことです。データの圧縮は各テープ装置が持つハードウェア圧縮のチップにより高速に処理されるため、あえてシステムのCPUを使用した圧縮を行うことは非効率になります。


取得したバックアップをリストアする手順

   テープ装置から「/home」以下をリストアする場合には、以下のコマンドを実行します。

tar xvf /dev/st0

   「/backup/backup200505.tgz」ファイルをリストアする場合には、以下のコマンドを実行します。

tar xvzf /backup/backup200503.tgz
絶対ディレクトリと相対ディレクトリの使い分け

   バックアップの対象を選択する際に、絶対ディレクトリで指定すると、リストア先の変更を行うことが難しくなります。例えば、「/home」の内容を「/home2」にリストアしたいなど、柔軟な変更を行いたい場合には、相対ディレクトリの指定をすることで、対応が可能です。

# cd /home
# tar cvf /dev/st0 .
# cd /home2
# tar xvf /dev/st0

   この方法を応用して、tarコマンドを使用すると属性情報を維持したままデータの保存ができるという利点を生かし、特定のディレクトリの内容をスナップショット用にして他のディレクトリにコピーするのにも使用できます。また、展開時にオプションのpを使用するとすべての保護情報を取り出すという意味になります。

   以下の例では、「./fooディレクトリ以下」の内容を「/foo2」以下にコピーしています。

$ tar cf - ./foo | (cd /foo2;tar xvpf -)
次回は

   次回は、OSSでのバックアップ手法(後編)として、dump/restoreコマンドを中心に"cron"によるスケジューリング方法を解説していきます。

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バックボーン・ソフトウエア
著者プロフィール
バックボーン・ソフトウエア株式会社  青木 浩朗
ストレージ専業ベンダーにて、SEおよび企画を担当した後に、2001年にBakBoneSoftware入社。主に大手ベンダーのSEを担当しながら、テクニカル・マーケティングとして、各種講演や執筆活動を行っている。最近は、特にデータベースとクラスタリングに注力し、検証レポートを作成するのをライフワークとしている。


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第4回:OSSでのバックアップ手法(前編)
  バックアップ・デバイス
  mtコマンドによるテープ装置の制御
tarコマンド