TOP
>
業務システム
> JIS規格に準拠してサイトを「構築し」「運用する」こと
最新CMS導入ガイド〜ビジネスCMSの可能性〜
第3回:ビジネスで使うCMSの最新トレンド 〜 前編
著者:
彼方 金子 明敏
2006/7/3
前のページ
1
2
3
JIS規格に準拠してサイトを「構築し」「運用する」こと
JIS規格に準拠して、誰にでもわかりやすく使いやすいサイトを構築していくには、そのサイトが満たすべき基準に基づくルールを決め、その上でユーザナビゲーションの設計とデザインを行い、ページのテンプレート化によってこれをサイト全体に適用することが求められます。
その基本は、ページの中の要素の配置や装飾などのデザイン、テキストや画像などのコンテンツを分けて、HTML/XHTMLとCSSで適切に記述することです。JIS規格以前から、W3Cをはじめとする国際標準化団体による「Web標準」の一環として、デザインとコンテンツの分離・構造化は推奨されていますが、これはアクセシビリティの確保・維持のためにも必須の技法といえます。
CMSは、HTML/XHTMLとCSSによってコンテンツとデザインを別々に管理することを基本に設計されており、こうしたWeb標準に準拠したサイトを効率よく制作することに向いています。
CMSによって、ヘッダ/フッタなどの共通要素や、レイアウト/ナビゲーション/コンテンツの見せ方などのデザイン要素を管理し、サイトが満たすべきアクセシビリティを徹底して追求・実装し、基本デザインをテンプレート化することで、JIS規格の内容に明るくない担当者でもHTMLの知識がない人でも、アクセシビリティの確保された/デザインの統一されたページを常に制作・更新することができます。
図3:素材データ、テンプレート、ページの概念(再掲)
つまり、サイトの構築期だけでなく、運用を通して容易かつ継続的に所期の目標を達成し続けることが可能になります。
ところでこのJIS規格は、米国の「リハビリテーション法508条」のように法規ではありません。さらにその内容も「しなければならない」「してはならない」という必須の項目だけではなく、「望ましい」という表現で記述される項目もあります。
また、具体的な実現方法の記載を避け、HTMLやXMLなどのマークアップ言語に依存しない一般的な指針として書かれています。
しかしこのことは、特に運用フェーズで求められるアクセシビリティの「検証」をやや複雑にしています。確かにツールにより機械的に検証できる項目もありますが、設計時に決めた基準にそって人為的に確認しなければ検証できない項目が多く残ります。サイトの更新の度にこれを徹底的に行うことはあまり現実的ではありません。
CMSでサイトを運用することは、この面でも大きな効率化を実現します。
このほかにも、CMSの導入によって「アクセシビリティ」の確保が確実・容易になるケースは数多くあります。前回ご紹介しました彼方株式会社のCMS「ALAYA(アラヤ)」の場合の例を以下に2つあげます。
「文字を大きく読みやすくしたページ」「読み上げソフトに適した、テキストメインのページ」などの複数のページを別に用意してアクセシビリティを確保する場合に、CMSの「マルチページ生成機能」を利用することで、一回の入力で効率的にかつ確実に複数ページの同時生成を行えます。
画像には利用者が内容を的確に理解できるようテキストなどの代替情報を提供しなければならないことがJIS規格に明記されています。CMSで、画像に代替テキストを必ず入れることや必ずキャプションをつけることを必須にすることで、新たにページを作成する際の作業漏れを未然に防ぎ、アクセシビリティの常に確保されたサイト運営が行えます。
「ALAYA」のテンプレートは、こうした設定を自在に行える高い柔軟性を有しており、Webサイトが保つべきアクセシビリティを容易に確実に実現できます。
「アクセシビリティ」からWeb標準へ
高齢化社会の進む日本において、「アクセシビリティ」の確保は自治体サイトだけではなく、企業サイトにとっても重要なテーマです。
そのためには、国際標準化団体の勧告する仕様に基づいてWebサイトを制作することが大切であると先ほど説明しましたが、こうした「Web標準」に準拠することのメリットは、アクセシビリティの向上だけではありません。
ファイル容量の軽量化は、ブラウジングの速度を速め、ひいてはユーザエクスペリエンスを向上させます。SEO、クロスブラウザ対応のコストの削減、メンテナンス性の向上などにもメリットがあります。
WCAGは近い将来「2.0」が勧告され、現在よりさらに明確な基準が盛り込まれることが伝えられています。CMSの導入によりWeb標準を実現しているWebサイトでは、その際にもスムーズな対応が期待できます。
次回予告
次回は「ビジネスで使うCMSの最新トレンド2」と題して、企業・自治体サイトがクリアすべき3つの「新基準」の残り2点、「コンプライアンス」「情報セキュリティ」について、詳しく見ていきます。
前のページ
1
2
3
彼方株式会社
1995年よりWebマガジン「teleparc:テレパーク」(運営:富士通)の企画・制作・運営を行っていたテレパーク編集部が母体となり2001年に独立。企業・自治体サイトから中田英寿オフィシャルホームページといったエンターテインメント系サイトまで、自社製CMS を主軸にきめの細かいソリューションを提供中。
http://www.kanata-jp.com/
彼方コンテンツマネジメントシステム「ALAYA(アラヤ)」
10年以上にわたるWebサイト構築・運営経験を元に、制作現場のニーズを反映し開発したコンテンツマネジメントシステム。Webサイト運営の効率化はもとより、アクセシビリティ・コンプライアンス・情報セキュリティといった近年のWebサイトに求められる要件にお応えします。
http://www.kanata-jp.com/product/index.html
著者プロフィール
彼方株式会社 金子 明敏
1995年から10余年にわたるWebサイト構築・運営のノウハウを活かし、自社開発したコンテンツマネジメントシステム「ALAYA」のプロダクトマネージャ。
INDEX
第3回:ビジネスで使うCMSの最新トレンド 〜 前編
いまや、企業・自治体サイトは情報が新しいだけでは、不足
コンプライアンス:掲載情報の責任の所在の明確化
JIS規格に準拠してサイトを「構築し」「運用する」こと