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飛躍するオープンソースベンチャー企業
オープンソースを武器に拡大戦略をとるワイズノット
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— オープンソースのウィークポイントは何だと思われますか


嵐氏:熱烈なオープンソース信者なので、ウィークポイントはないと思っています(笑)。僕は何かあってもそれならこうすればいいと思ってしまうプラス思考なので、ウィークポイントだと思わないんです。強いてウィークポイントを上げるとするなら、技術者がまだ少ないということでしょうか。あとは認知度が低いとか。


— オープンソースでビジネスをしていると、技術を盗まれることはありませんか

社内風景
社内風景
嵐氏:よくありますよ。だからまあ、インタビューを受けているこの部屋にも監視カメラを入れてあったりするわけですが(笑)。技術を盗まれたことも一度ありましたが、技術で負ける気はしないので、まあいいやと。目指している方向性や価値基準が違うので放置しています。

   ただし、受託開発したものに関しては、オープンソースで作ろうが作るまいがお客様の資産なので、アプリケーションを公開することはできません。そこのソースの管理はしっかりやろうと思っています。

   エンジニアの中には、オープンソースなんだから公開しなければならないと勘違いしている人もいますが、技術教育以外のそういう部分の教育はまだまだ業界全体として弱いんだなと実感しますね。著作権法や商取引に関する法律の教育が必要です。いくら監視カメラを入れたりハードが良くても、ソフト面がだめだったらなにもならないので。それ以外は、パートナー企業の人が来て作業するにはセキュリティを切り分けてしっかりやっていますので、問題はないのですが。


— 技術要素などの情報を公開することによって知名度が上がったり認められたりするのがオープンソースの世界だと思いますが、公開する情報としない情報の区分けはどうされていますか

嵐氏:僕は、どういう技術を使ったかということは、知財だと思っています。先日、某通信系のオープンソース研究の人たちが、分からないことがあるので教えてほしいと訪ねて来たんです。それをエンジニアがその場で回答してしまった。先方はお金を出すと言っていたんですが、翌日ありがとうでおしまいです。そのエンジニアには、そういうのはやめてくれと話しました。どういうものをどういう組み合わせで構築すると安定するのかといったことは、我々が検証しているわけで、お金になるノウハウなんです。そこをきちんと有償化しないと、逆に業界を壊してしまうことになると思っています。


— 例えば、オープンソースのチューニングはどちらの範疇ですか


嵐 保憲氏 嵐氏:ノウハウです。チューニングの技術は、そのエンジニアが勉強して一生懸命調べて得たものであって、コンサルテーションを受けていいものです。オープンソースとは、文字通りソースコードがオープンなのであって、チューニング技術までオープンということではありません。コミュニティの中で教えあうことはあってもいいと思いますが、エンドユーザーに対しては、いただくべきものはいただくべきだと思います。

   そういう意味で、コミュニティとの接し方は非常に頭を使います。コミュニティとの付き合いが深い人間はしっかり分かっていますが、新人はだめですね。お客様のものを開発して得た知識が混在してくるので、どこまで許されるかという線引きがあいまいです。まだ世の中に法令や判例がないので、だったら言わないほうが安全だということになります。

   もちろん、バグを見つけたらコミュニティに公開するといったことはやっています。せっかくバグを見つけたのに自分たちでメンテナンスしていてはバージョンアップされませんし、そもそもそれがオープンソースですからね。たくさんありますよ。そんなところまで直すんですかと言われるようなところまで直しますから。直さないとお客様に提供できません。

   お客様にとって、オープンソースのバグかどうかは関係なくて、きちんとしたシステムを必要とされているわけですから、埋めざるを得ないんです。埋めたものは還元していかないと、次の開発の時に困りますから。ただ、オープンソースは組み合わせによってバグだったりバグでなかったりしますから、それが採用されないケースも多々あるのは歯がゆいです。そういう時は事例として残すという形になります。

   アプリケーションということでは、モジュールをオープンソースにしています。ソフトウェアをというのはいくつかあるんですが、そこは戦略的にやりたいと思っています。いつ公開してもいいけれど、まだ社で改良を加えたりしているので、それができたら公開しようというものもいくつかあります。ただし、オープンソースのコミュニティの人たちは、個人で使うものにはかなり関心を示しますが、ビジネスユースのものはあまり関心を示さない。公開しても、きっと使わないですよね。

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