 |
|
前のページ 1 2 3
|
 |
仮想化がもたらすメリット
|
これらの仮想化技術は、IBMが40年以上にわたり培ってきた仮想化技術に基づいており、1台のサーバーを論理的に分割し、その分割した区画上でアプリケーションを稼動します。分割された区画は、その1つ1つが独立したサーバーのように機能します。
利用部門にとっては、物理的に1つのサーバー内でデータ転送を行うことができるため、これまでボトルネックとなっていたネットワークや周辺機器に起因する遅延が大幅に改善されますので、パフォーマンスが向上し、サービスレベルの向上につながります。
IT部門にとっては、システム全体の一元管理ができるようになり、運用管理の効率性が飛躍的に向上し、運用管理のワークロードや人為的なミスも削減することが可能です。また従来、数百台、数千台のサーバーが物理的に占めていた空間が不要になるので、スペースの有効利用にもつながります。
さらに、CPUを分割して使うことで、CPU単位で課金されるソフトウェアのライセンス料金を下げることができ、ITコストの削減に直接的に貢献することもメリットの1つといえるでしょう。そして、データを内部的に処理できることは、セキュリティの管理ポイントも集約でき、セキュリティの管理レベル向上とコスト削減にもつながるのです。
ビジネス面では、変化に応じてシステム・リソースの柔軟な提供が可能になり、またポリシーにしたがった運用によりサービス・レベルを満たすシステム環境を構築することができます。ビジネス機会を失わない、そういったシステム環境は仮想化がもたらしてくれるといえます。
仮想化技術は、このようにさまざまなメリットがありますが、その真の狙いは、仮想化より改善されたコストやワークロードを企業本来のコア・コンピテンシーと価値創造に振り向けることにより、企業の競争力のいっそうの向上に貢献することです。
|
オープンとコラボレーションがさらなるオンデマンド・ビジネスを推進
|
Systems Agendaの2番目の柱に掲げているのは「オープンへの取り組み」です。IBMはこれまでオープン標準を目指して多くの技術を推進しています。オートノミック・コンピューティングやグリッド・コンピューティングは、その一部で、IBMの仮想化技術にも、これらの先端技術が受け継がれています。
たとえば、仮想化の第2段階、異種接続環境を実現するVirtualization Engine SuiteのEWLM(Enterprise Workload Manager)機能には40年の仮想化技術の歴史やオートノミック・コンピューティングの取り組みが集約されています。IBMのメインフレームであるzSeriesに実装されているWLM(Workload Manager)の機能を基に、オートノミック・コンピューティングにおける研究の成果を融合し、ネットワーク上でワークロードを管理するEWLMが誕生しました。
同じく、Virtualization Engine Console機能は、オートノミック・コンピューティングの統合ソリューション・コンソール技術がベースになっています。IBM Systems Agendaの発表と同時に打ち出されたVirtualization Engine V2では、さらにオートノミック技術の融合された機能強化がなされています。
グリッド・コンピューティングは、オンデマンド・ビジネスを支えるオープンなITインフラストラクチャーを実現する代表的な技術の1つとしてあげることができます。これは、オープン標準に基づいた技術により、複数の組織に分散している異機種のシステムを、統合された1つのシステムとして利用することで、オンデマンド・ビジネスに必要な即応性と競争優位を獲得することができるようになります。
IBMのVirtualization Engineがもつ優位性の背景には、オープンな最先端のプロセッサ技術があります。最先端の64bitプロセッサであるPOWER5も、その1つです。圧倒的な実績と優位性を持つPower ArchitectureとIBMの実装技術が結集されています。ムーアの法則の通りに飛躍的な向上を遂げてきたプロセッサの処理性能。むしろIBMはムーアの法則を超える向上を実現しているといえるでしょう。
またIBMは、Systems Agendaの3本目の柱として、変革を推進するクライアントやパートナーとの協業をあげていますが、このオープンへの取り組みを一層推進するには、クライアントとパートナーの賛同・参画と、協業がかかせません。個々の持つ力を有機的に結合することで、テクノロジーやビジネスを支えるITシステムの飛躍的な革新ができると信じています。
ビジネスを支えるITインフラは、ビジネスの成功の鍵を握る重要な存在です。IBM Systems Agendaはお客様の企業変革を、責任を持ってお手伝いしていくという姿勢を示すものです。IBM Systems Agendaという新たなビジョンをもって、多くのお客様のビジネスの成功と価値創造の強化に貢献していきたいと私たちは考えております。
|
前のページ 1 2 3
|

|
|

|
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社 出澤 研太
日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 システム製品事業担当
1973年、システム・エンジニアとして入社。社長補佐、米国IBM勤務を経て、1994年、RS/6000(現pSeries)製品事業部長。アジア太平洋地域のハードウェア事業ゼネラル・マネジャー、インテグレーテッド・テクノロジー・サービス事業部長を歴任。2000年4月、取締役に就任。2001年、金融業界のお客様を担当し、2005年1月より現職。サーバー、ストレージ、プリンターにわたる日本IBMのハードウェア事業を統括。
|
|
|
|